2018年6月12日火曜日

絵本大好き! 7


     💛真っ赤ないちご

  
知人の好意で、大江山の生産者から分けていただいている、
まさに産直の朝取りいちごです。今シーズン最後とのこと
でしたので、ちょっと贅沢にたくさん届けていただきました。
    🍓いちごと言えば、今の季節には必ず読んであげたい絵本の1冊です。

         
「いちごばたけの ちいさなおばあさん」
わたり むつこ さく 中谷千代子 え 福音館書店 刊

       「いちごばたけの つちのなかに、ちいさなおばあさんが
       すんでいました。おばあさんの しごとは、いちごの みが
       なると いちごに あかい いろを つけてあるくことでした。」
       と、この話は始まります。
        ぽかぽか陽気だったある年のこと、春がすぐそこまで来ていると
       思ったおばあさんは、あわてていちごに色をぬる準備を始めるので
       した。

       「まあ、たいへん。(中略)これでは、はなが さくのも まぢか
       だわ! はなが さきゃ みがなるし、みがなりゃ あたしは いろ
       を つけなきゃならないわ。あかい いろが たっぷりいるわ。」

        こうしておばあさんは、いちごの色を作り、土のなかのひゃくだん
       もの階段を上ったり下りたりを繰り返しながら、いちごに色をぬる
       仕事をにせっせと精をだすのです。

        これで、「めでたし、めでたし!」で終わるお話ではありませんが、
       私たちが普段なにげなく食べているいちごに、こんなメルヘンチック
       なドラマがあったら、なんと素敵なことでしょう。

        このお話を読んでもらっている時の子どもたちの目は、まん丸で
       キラキラ輝いていました。いちごが大好きな子どもたちの口からは、
       今にもよだれがこぼれそうな…。

        「ちいさなおばあさん お仕事がんばってね!赤いいちごを
        ありがとう!」と、子どもたちの声が聞こえてくるようでした。

        「あり得ないこと。ばかばかしい!」と、現実を知り尽くした
        大人の人は、冷ややかにいうことでしょう。

        絵本の世界に入ることのできる子どもたちは、自分の体験と重ね
       合わせたり、追体験しながら、わくわくしたり、どきどき感を味
       わったり、喜んだり悲しんだりしながら、優しや強さなど豊かな
       感情を育んでいくのではないでしょうか。

        これが、「絵本の力」だと、私は思います。

    💛「絵本の力」と言えば、
   
        先日放送された、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀/
       最後の記録 絵本作家かこさとし」という番組を録画で見て、
       加古さんが5月2日に亡くなられたことを知りました。

        「最後まで絵本作家として生き抜いた一人のプロフェッショナル
       の記録です。」としるされています。亡くなられる直前の3月11日
       から4月11日までの1か月間のドキュメンタリー番組で、最後まで
       絵本作家であり続けた加古さんの生きざまが描かれていました。

        死期を見据えながらも、最後の最後まで、「ただ、こどもたちの
       ために」と創作活動の筆をおくことのなかった加古さんだったそう
       です。

        この番組を通して、加古さんの絵本にかける思いや十数年まえ
       から病気と闘いながら創作活動をされていたことや訃報に接し、
       大きな衝撃を受けました。

      

        加古里子さんの作品が500作以上ある中で、ほんの一部だけ
       ですが、私が保育士になった時すでに生まれていた作品ばかりです。
       子どもたちによく読んであげていた人気な絵本たちです。思い出が
       ぎっしり詰まっていて、涙がでそう…です。
        「絵本の力」にたくさんたくさん助けていただきました。

        30年くらい前になりますが、加茂の短大で加古里子さんのお話
       を聴かせていただいたことがありました。メガネの向こうに見える
       まなざしのやさしさと、絵本作りへの熱い思いや子どもへの愛情の
       深さが、今も鮮明に残っています。

        「どうぞ安らかに ゆっくりお休みください。」と天国にいらっ
       しゃる加古里子さんにお声をかけようと思います。

        ありがとうございました。