💛真っ赤ないちご
知人の好意で、大江山の生産者から分けていただいている、 まさに産直の朝取りいちごです。今シーズン最後とのこと でしたので、ちょっと贅沢にたくさん届けていただきました。 |
🍓いちごと言えば、今の季節には必ず読んであげたい絵本の1冊です。
すんでいました。おばあさんの しごとは、いちごの みが
なると いちごに あかい いろを つけてあるくことでした。」
と、この話は始まります。
ぽかぽか陽気だったある年のこと、春がすぐそこまで来ていると
思ったおばあさんは、あわてていちごに色をぬる準備を始めるので
した。
「まあ、たいへん。(中略)これでは、はなが さくのも まぢか
だわ! はなが さきゃ みがなるし、みがなりゃ あたしは いろ
を つけなきゃならないわ。あかい いろが たっぷりいるわ。」
こうしておばあさんは、いちごの色を作り、土のなかのひゃくだん
もの階段を上ったり下りたりを繰り返しながら、いちごに色をぬる
仕事をにせっせと精をだすのです。
これで、「めでたし、めでたし!」で終わるお話ではありませんが、
私たちが普段なにげなく食べているいちごに、こんなメルヘンチック
なドラマがあったら、なんと素敵なことでしょう。
このお話を読んでもらっている時の子どもたちの目は、まん丸で
キラキラ輝いていました。いちごが大好きな子どもたちの口からは、
今にもよだれがこぼれそうな…。
「ちいさなおばあさん お仕事がんばってね!赤いいちごを
ありがとう!」と、子どもたちの声が聞こえてくるようでした。
「あり得ないこと。ばかばかしい!」と、現実を知り尽くした
大人の人は、冷ややかにいうことでしょう。
絵本の世界に入ることのできる子どもたちは、自分の体験と重ね
合わせたり、追体験しながら、わくわくしたり、どきどき感を味
わったり、喜んだり悲しんだりしながら、優しや強さなど豊かな
感情を育んでいくのではないでしょうか。
これが、「絵本の力」だと、私は思います。
💛「絵本の力」と言えば、
先日放送された、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀/
最後の記録 絵本作家かこさとし」という番組を録画で見て、
加古さんが5月2日に亡くなられたことを知りました。
「最後まで絵本作家として生き抜いた一人のプロフェッショナル
の記録です。」としるされています。亡くなられる直前の3月11日
から4月11日までの1か月間のドキュメンタリー番組で、最後まで
絵本作家であり続けた加古さんの生きざまが描かれていました。
死期を見据えながらも、最後の最後まで、「ただ、こどもたちの
ために」と創作活動の筆をおくことのなかった加古さんだったそう
です。
この番組を通して、加古さんの絵本にかける思いや十数年まえ
から病気と闘いながら創作活動をされていたことや訃報に接し、
大きな衝撃を受けました。
加古里子さんの作品が500作以上ある中で、ほんの一部だけ
ですが、私が保育士になった時すでに生まれていた作品ばかりです。
子どもたちによく読んであげていた人気な絵本たちです。思い出が
ぎっしり詰まっていて、涙がでそう…です。
「絵本の力」にたくさんたくさん助けていただきました。
30年くらい前になりますが、加茂の短大で加古里子さんのお話
を聴かせていただいたことがありました。メガネの向こうに見える
まなざしのやさしさと、絵本作りへの熱い思いや子どもへの愛情の
深さが、今も鮮明に残っています。
「どうぞ安らかに ゆっくりお休みください。」と天国にいらっ
しゃる加古里子さんにお声をかけようと思います。
ありがとうございました。