2021年3月31日水曜日

春の訪れ

 

 新潟の桜も開花宣言と共に、あちらこちらで桜が満開です。自宅近くにある警察学校河岸の桜並木も桜色に染まっています。綺麗ですね。

 

すっかり春めいてきたこの頃。

 我が家の庭では、白木蓮のつぼみがふくらみ、下に目をやれば、雪柳の可憐な花が風に揺れています。足元のラッパ水仙もようやくつぼみがふくらんできました。

  そして、レンギョウが黄金色の花をつけ、真っ盛りです。

<レンギョウ>
我が家に春一番を知らせてくれる花です
我が家に来て二十数年、大きくたくましく育ってくれています


4月の中旬。レンギョウの花が満開だった頃、退職後の第二の仕事をさせてもらっていた時のことです。新任の園長先生たちにお話をさせていただく機会がありました。

 「レンギョウの花言葉を知っていらっしゃいますか?」と、聞いてみました。

 レンギョウの花言葉は、「希望」です。私は、この花言葉も含め春一番に咲くレンギョウの花が、大好きです。その花にからめて、「園長先生は、子どもたちにとってまさに希望だと思います。自信と希望をもって、これからの仕事に励んでください。」と。このような話をさせていただいたと記憶しています。(随分と偉そうにと、今思えば恥ずかしいかぎりです。)

 後日、ある園を訪問した時のこと。

話を聴いてくださっていた園長先生に言われました。「レンギョウの話が心に沁みました。(仕事は)大変ですけれど、希望をもって仕事をしていこうと思います。」

 自分が感じたことを素直に人に伝えることができる。素敵なことですね。自分が褒められたことの嬉しさと、この方の人柄に私は、感動しました。その園は、その先生の人柄が感じられる、優しさにあふれている園だったという印象で帰路についたことを憶えています。

 こんなことがあって一年くらい経過した頃だったでしょうか。

A先生が亡くなられたそうです!」突然の訃報が届きました。

 レンギョウにまつわる因縁から、お悔やみの席での最後のお別れをさせていただきました。

  子どもたちのために一生懸命お仕事をされていることは、風の便りで聞いておりましたので、「悔しい思い、残念な思いを残しつつ逝かれたのだろう。」と察するに余りあります。

 

癌との闘病で入退院を繰り返していらっしゃったと伺いました。「痛い!」の弱音を吐くこともなく、常に「治る!」という希望を持って治療を頑張っていらっしゃったそうです。なかなか出来ることではありませんね。

 レンギョウの花が連れてきてくれる、ちょっぴり苦く、でもなぜか頑張ろうという勇気が湧いてくる思い出です。

 明日から4月。

新一年生が羽ばたく時期ですね。新しい生活の始まりに、夢と希望に胸ふくらませている頃だと思います。そして、ちょっぴり不安にかられていることもあるかもしれませんね。

  利用者さんのお子さんにも、新一年生になられるお子さんが何人かいらっしゃいます。

 周りの大人による心ない一言によって、傷つけられることがないように、学校という小さな社会の渦に飲み込まれることのないように、こころから祈っています。

 

 優しく、そして…強く、たくましくなあ~れ!

「ころろほいく」は、特別な節目の時はありませんが、新入園新入学されるお子さまの健やかな成長を心よりお祈り申し上げております。

 

 

 

2021年3月3日水曜日

雛祭り

 

 今日は、雛祭り。

  ♪ はるの やよいの この佳きひ なによりうれしい ひなまつり ♪

 

 保育園時代、毎年この時期に歌ってきた「うれしい ひなまつり」の一節です。

雛祭りは、娘二人を育てた親としても大切にしてきた行事の一つでした。

 

 長女の初節句のお祝にもらった七段飾りは、押し入れに拠点を移してから何年経つことでしょう。(笑)娘の成長につれ、いろんなことを言い訳にして飾ることから遠ざかってきたように思います。おかげ様で、二人とも無事に成人してくれたことに感謝しております。

 

時は流れ、玄関に居場所を移し、コンパクト化したお雛様。女子の健やかな成長を祈る節句ですから、元女子としては、これからも大切にしていきたいと思います。

 

玄関に引越しをした手作りのお雛様たち
左手の小ぶりのお雛様は陶器製で、京都旅行で求めたもの。
右手の大ぶりなものは、手先の器用な方に作っていただきました。

タイムリーな今日。

利用者さんはいらっしゃいませんでしたので、夕食にちらし寿司とすまし汁、桜餅をいただき、ささやかながら家族で節句を祝いました。

 

時々利用してくださる姉妹さんが、いらっしゃいます。

日々成長していく姿を時々見せていただいて、目を細める出来事の連続です。

 

 先日、私の膝の上に座って絵本を読んでもらっていた時のことです。

読み終わったはずの絵本のページをめくって、何かを探している様子のAちゃん。

 

そして、ある1ページを開いてくれたのを見て、驚きました。それは、うっかりと読み飛ばしていたページがあったのです。「子どもは、絵を読む。」という話を聴いたことがあります。まさに、Aちゃんは絵を読み、心に刻んでいたのですね。前に1回か2回読んだくらいの経験でしたので、余計驚きでした。

 

「ごめんなさい!」と謝り、最初から仕切り直しです。ようやく腑に落ちた様子のAちゃん。安心したように、次の1冊へと手を伸ばしていきました。

 

こんなこと、あんなこと、子どもたちに教えてもらうことや気づかせてもらうことが多々ある日々です。

 

タイムリーにお祝いはできませんでしたが、これからも健やかに成長されることを心よりお祈りいたします。

2021年3月1日月曜日

おもちゃ

  今日から3月弥生(やよい)です。

 古い言い方ですが、優しい言葉の響きが、私は好きです。

  冬から春に移り変わる季節は、卒園卒業の季節でもあり、別れを惜しむと同時に新たな出会いを予感する季節でもあります。

  そんな季節の到来にわくわくしませんか。

  最近、およそ2年ぶりの利用者さんがお見えになりました。本当に久しぶりだったので、驚くやら嬉しいやらで、わくわくしながらその日を待ちました。

  赤ちゃんだったHくんが、私たちのことを覚えているはずもなく、再会の挨拶はもじもじ…とスタートしました。懐かしんでいるのは、もちろん大人だけです。(笑)

 

 それでも、笑顔で迎えるスタッフとその場のウェルカムムードが彼に伝わったのか、緊張がほぐれるにはそんなに時間はかかりませんでした。やれやれと胸をなでおろし、かつて遊んでいたおもちゃを手はじめに、年齢に合うだろうおもちゃのいくつか提案させてもらいました。

 

 当然ながら、1歳の頃集中して遊んでいたチェーン落としには全く見向きもせず、車や電車のおもちゃが目に留まったようです。

<スェーデンのBRIO社製>
「トラベルサークルセット」
豊富なパーツを足していくことで、遊びの発展性があります。

この線路は、後日にIくんが遊んだ時のものです。
左手前方の踏切がお気に入りでした。
Hくんが組み立てた線路はオリジナリティに富んでいて、再現できず残念!

 箱から木製の線路やパーツを出して、一つ二つと組み立て方の手本を見せてやると、すぐに覚えて自分でどんどん繋げていきました。もちろん少しは手伝いもしましたが、大人のように概念にとらわれることがなく、発想力が豊かで面白いものができました。

 

 赤ちゃんだった頃のHくんしか知らない私たちには、こんなにも成長した姿に遭遇することができ、喜びと感謝の思いです。長い間、子どもと関わる仕事をさせていただいてきて感じた喜びとはまた違う醍醐味です。

 

 さて、遊びはじめたHくん。

「ぴっ、ぴっー、がたん、がたん、がたん。」と、言葉を巧みに操り電車を走らせて遊んでいます。チェーン落としに集中していた姿そのものでした。

 

 こころほいくでは、おもちゃの準備をする際に、年齢や性別や好みに添ったものを最低限度は整えたいという思いでやってきました。決して十分に揃っているとは言えませんし、今回のように、利用者さんの顔を目前にして準備する場合もあります。

  長時間お預かりするような場合、やはりお子さんのお気に入りになるようなおもちゃや遊びがあった方が安心ですし。

 そこで、あそびとおもちゃの専門店「クルテク」の横山さんに相談に乗ってもらうことにし、久しぶりにお店を尋ねました。

  その結果、求めてきたおもちゃの一つが、BRIO社の「トラベルサークルセット」です。基本セットはすでに持っていたのですが、もっと遊び込んでいくには、線路やトンネルなどのグッズを追加した方がいいということになりました。いつか、もっと買い足してやりたいという願いも叶いました。

  木のぬくもりが温かく、線路が裏表共に刻まれていることから、カーブであれば右、左が自在になります。子どもの自由な発想にやさしく寄り添ってくれるという優れものです。

  今回の選択は大正解。Hくんが喜んでくれたのはもちろんですが、遊んでもらったおもちゃも喜んでいるはずです。(笑)まだ子どもの目に留まらず、遊ばれていないおもちゃがこころほいくには幾つかあるからです。(笑)

 熱中して遊べるおもちゃに出会えたHくんは、ほかのおもちゃとも上手に遊んでくれて、こころほいくでの長い時間を飽きることなく、機嫌よく過ごしてくれました。

 「おもちゃは子どもがはじめて出会う芸術、文化。」と、研修会でお聴きしたことがあります。だからこそ、絵本と同様に、良いもの(おもちゃ)を子どもに届けてやることが、大人の役割であると改めて感じた出来事でした。

 

その後、偶然にも、Hくんとほぼ同年齢のIくんをお預かりする機会がありました。

ただ、初めての利用者さんでしたので、年齢、性別以外「好む遊び」の情報がありませんでした。

  「楽しく遊んで過ごしていただきたい。」が最重要課題です。「あそびたい!やってみたい!」の気持をうまくひきだすことができるか。迷いつつ電車あそびを提案してみました。

 踏切も出し、ライオンが乗った貨物車を加え、線路がどんどん繋がっていくと、遊びにうまく乗ってきたIくん。

  「かん、かん、かん、かん!」「ガォー!」と、自然にあそびことばが飛び出してきました。輪の中にすっぽりと入り込んで電車を操っている姿を見て、線路を大きな一つの輪にしたことが良かったと感じました。

  滞在時間こそ短かったIくんですが、楽しく過ごしていただけたことは本当に幸いでした。

  これもおもちゃが持つ「力」ですね。

 

 私の相談に的確にアドバイスしてくださった横山さんに感謝です。

そして、上手に遊んでくれた子どもたちにも感謝です。ありがとうございます。

 

 わくわくするこの季節。安心安全を大前提に、「楽しい!」をこれからも考えていきたいと思います。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします。