2022年4月19日火曜日

平和への祈り

 

💛ウクライナ民話「てぶくろ」

  エウゲーニー・M・ラチョフ  うちだ りさこやく  福音館書店刊


以前にも紹介させていただきましたが、子どもたちの大好きな絵本の中の1冊でした。絵本の中に入る前に必ず読むのが、表紙の部分です。作者名を子どもたちに伝え、読んでいました。「てぶくろ」は、「ウクライナ民話」と読むところから始まっていきます。

憂うことが多い中、「ウクライナ民話」のワードが、ずっしりと心に深く入ってきました。

民話は、民衆の中から生まれ伝承されてきたもの、その土地の生活に根づいてきた文化だと思います。

なぜこの物語が劇遊びにまで発展できたのかと改めて考えてみました。

 おじいさんが森の中にてぶくろを落とし、いってしまったところからこの物語は始まっています。そこへねずみがやってきて、てぶくろを「家」に見立て暮らしはじめます。そして次々に、かえる、うさぎ、きつね、おおかみ、いのしし、くまがやってきて、「わたしも いれて」と「家」に入ることを乞うのです。

「どうぞ」

大人の感覚では「入るわけはない」と思いつつも、子どもたちはファンタジーの世界にすっと入り込んで、その動物になり切ってこのかけ合いを楽しんでいました。あり得ないようなことをなんとかしてしまう展開の面白さや、「どうぞ」と相手に手を差し伸べ、思いやる優しい気持ちに心惹かれたのだと思います。子どもたちに最も伝えたい「大切な心」だと私は、信じています。今だからこそ、という思いも大きいです。

 

「こんな時に自分に何ができる?」と心に問う日々。

 

「私にできることは、今、させていただいている仕事(大切なお子さんをお預かりする)を全うすること。お子さんの笑顔をたくさん増やしていけるように初心を貫くことしかない。」という思いに至りました。


 本当に微力です。歯がゆいことの多い日々ですが、もう少し続けさせていただこうと、思いを改めてかみしめております。感謝するばかりです。

ありがとうございます。

 

🌸我が家の庭に春一番を知らせてくれたレンギョウ(花言葉は「希望」)

と ムスカリ(花言葉は「通じ合う心」「明るい未来」)です。


同じ空の下にいるウクライナの子どもたちに「明るい未来」が来ることを

願い、希望を託したいと思います。(祈り💛

2022年4月12日火曜日

巣立ちの季節

“♪春ですよー 春ですよー♪ そよそよ小風がいいましたー♫”  懐かしい歌のフレーズが、ふと頭をよぎりました。    レンギョウの黄色の花に癒され、白木蓮のつぼみにほっこりしています。ここ数日の気温の上昇で桜もあっという間に満開になり、  自然の移ろいは裏切ることなく春を運んできてくれました。  春は、新たな出会いの季節でもあります。  また、入園入学の巣立ちの季節ですね。    この季節になると読んでいた、大好きな絵本があります。                  💛「こすずめのぼうけん」
         ルース・エインワース作 石井桃子訳 堀内誠一画  福音館書店刊  おかあさんすずめから、飛び方を教えてもらったこすずめが、いくつかの冒険を経て、巣から飛び立って成長していく物語です。    その過程で、疲れたはねを休ませようとするのですが、からすに言われます。  「おまえ、かあ、かあ、かあっていえるかね?」  「いいえ、ぼく、ちゅん、ちゅん、ちゅんってきりいえないんです」と、こすずめは いいました。  「じゃ、なかへ いれることはできないなあ。おまえ、おれの なかまじゃないからなあ」  つぎつぎに出会うやまばと、ふくろう、かもと、このやりとりを繰り返すのですが、    疲れたはねを休ませることができないこすずめ。  あたりは 暗くなりはじめ、ちいさい すずめは、もう とぶことが できなくなっていました。  そこで出会ったとりに くたびれた こすずめは いいました。  「ぼく、ちゅん、ちゅん、ちゅんってきり いえないんですけど」  「もちろん、なかまですとも」と、そのとりは いいました。  「わたしは、おまえの おかあさんじゃないの。きょうは、いちにち、 おまえを さがしていたんですよ。  わたしの せなかに おのり。いえまで おぶっていってあげるから」  このお話のクライマックス場面です。  おかあさんすずめにおぶわれて 無事 巣に戻ることのできた こずずめ。  『それから、こすずめは、おかあさんの あたたかい つばさのしたで ねむりました』と、お話は結ばれています。  上手く出来ないことを責めることもなく、冒険に挑んでいるこすずめを温かく見守るすずめのおかあさん。  おかあさんの愛情に包まれて、安心して眠りにつくこども。読み終わるころには、お母さんの優しさや深い愛情が伝わってきて、  こころがほっこりして温かな気持ちにしてくれます。  「あなたの傍には、あなたを愛してくれるお母さんがいるから大丈夫だよ。」  「こんなメッセージが子どもたちに伝わってくれたらいいなあ。」という思いを込めて、読んでいました。    今もその思いは、変わりません。  お母さんがお迎えにいらっしゃった時に見せるお子さんの笑顔。お子さんに向けるお母さんの優しいまなざし。   その瞬間を見せていただけることに喜びをいただいております。  お母さんという安全基地があるからこそ、子どもはそこを基点にして巣立っていけるのだと思います。  巣立ちの季節。  「こころほいく」では、入園という節目はありませんが、お子さんにとっては「初めての慣れない環境」です。  涙がたくさん出ることもあります。  お子さんが、安心して、楽しく過ごしていただくことと、信頼して預けてくださったお母さんに安心していただくことが、  何よりの「こころほいくの願い」です。  最大限のウエルカムの気持ちでお預かりさせていただきます。  今年度もどうぞよろしくお願いいたします。