2024年7月22日月曜日

おもちゃの力

 

<ミモザ/花言葉は感謝>
5月、花が終わるのを待って鉢から地に移しました
狭い場所からの解放感で、
空に向かって伸び伸びと育ち中!
子どもの成長と同じですね

先日のこと。

 

朝ドラを見ながらのんびりと朝食を摂っていると、1本の電話が入りました。「今日、これから預かってもらえますか?」という、Nさんからのご依頼でした。「微熱があるお子さんを園に預けられない。」とのこと。急でしたが、お断りは出来ないという事情だと思いました。

 

猛ダッシュで食卓を片付けて「こころほいく」に環境を万全に整えて、Uちゃんの親子さんをお迎えさせていただきました。

 

Uちゃんは、以前お預かりしたことのあるTくんの妹さんで、2歳の女児であること以外にプロフィールが全く分かりませんでした。「いやいや期」真っただ中?多分こうであろうと勝手な想像を巡らせ、泣かれるだろう姿を予想しておりました。

 

ところが、予想は見事に外れ、「本当に初めてだったかしら?」と目を疑うほどに、泣くどころか、終始笑顔のUちゃんでした。初めての環境にすぐに馴染んでくれて、おもちゃで遊び始めたUちゃん。

 

普段通っている園にも同じようなおもちゃがあるのでしょうね。キッチンでのままごと遊びがお気に入りのようです。リングチェーンをごちそうに見立てると、茶碗を差し出し、「(おじいちゃん)、どうぞ!」

 

目ざといですね。私たちは、すっかりおじいちゃんとおばあちゃんでした。(笑)

 

年齢の割に言葉が豊富で驚かされましたが、絵本が大好きで、お話が上手なお兄ちゃんTくんの影響が大きいのかな?と感じたところです。

 

「どうぞ!」の会話をやり取りしながら遊びに熱中していたはずのUちゃんが、「もしもし、ママ!はやくかえってきてね。」と、おもちゃの電話でママとお話しているのです。楽しく遊んでいて、ふとママのことを思い出したのでしょうね。

 

けなげですね。2歳そこそこの子どもが、電話に思いを託して、我慢をしている姿に胸に熱いものを感じました。

 

携帯電話の普及で、家庭に固定電話(機)がないのが当たり前な昨今。ほとんどのお子さんと言っても過言ではなく、従来型のこの電話機のおもちゃが大好きです!

 

<木製/電話>
(数字に見立て)丸い部分を押すとへこんで、応答性がある優れもの!


 誰が教えた訳でもないのですが、(子どもたちは、)受話器を手にすると耳に当て、おしゃべりを始めます。そこで、「ピッ、ポッ、パッ、ポッ、ピィ!」と「プルルル…」の効果音を入れてやると、すかさず、おじさんは自分の携帯を出してきて耳に当て、「はい!もしもしおじさんですよ。だれですか?」と応答するのが、定番の遊びの一つになっていました。

 

 「ママ、はやくかえってきてねー!」こんなことが2回ほどありましたが、お預かりの3時間はあっという間に過ぎました。

 

 体調が悪かったUちゃんのことを気にかけつつ、急いでお迎えに駆けつけて来られたことと思います。以心伝心、対面したUちゃんは笑顔でお母さんを迎えてくれました。もちろんお母さんも笑顔です。安堵感から嬉し涙が出るお子さんもいらっしゃる中、「こころほいく」での遊びが楽しかったことに違いないと、ホッと胸をなでおろしました。

 

 一つ付け加えさせていただくと、微熱があったはずのUちゃんでしたが、お母さんがいらっしゃる頃にはすっかり元気になっていて、「明日は保育園に行ける」ことを確信いたしました。「お母さん、良かったですね。」頑張るお母さんとUちゃんにエールを送りました。

 

 こんなことがあっての後日、次々お預かりさせていただいたMちゃん(1歳11カ月)と

Rちゃん(2歳10カ月)は、それぞれに自分の世界を持っていて、心の安定基地がしっかりとあることを感じました。お気に入りのおもちゃを見つけ、遊びを十分に楽しんでいたの

でもちろん泣いている暇はなく、笑顔で過ごしてくれていました。

一挙手一投足、お子さんのすることは可愛くもあり可笑しくもあり、終始笑顔が絶えない時間を過ごさせていただき、感謝しかありません。ありがとうございます。

 

 受け入れの準備をする緊張感。どんなお子さんかしらと想像するわくわく感。無事終えた時の安堵感。この三つ感覚のバランスがとれている時が最良の時です。

 

 広くは世界の戦争と平和のこと、毎日のように起きている世間を騒がせる事件のこと、またいつ起こるか分からない地震のこと、自分を含め家族の健康のことなどなど心配や不安がたくさんある中で、目の前にいるお子さんを見ながら、「子どもたちが未来に希望を抱ける幸せな社会であってほしい」と切に願うこの頃です。

 

 

<梅雨の晴れ間、きゅうりの葉の上で雨宿りするアマガエル>



  生態系の変化でさっぱり見かけなくなったカエルやカタツムリ、トンボたち…

 ぴょんぴょん跳んでいる姿を見かけると、つい嬉しくてシャッターを切りたくなります。

「ガンバレ!」一生懸命生きている生き物たちですね。

 庭の散策は、嬉しい発見がいっぱい!

 

2024年5月13日月曜日

母の日

 

今日は母の日。

風薫る爽やかな季節のはずでしたが、着物で過ごすには少々暑い日でした。あちらこちらでいろんなイベントが催されていたようですね。私事ながら、「初風炉」の茶事に参加し、同門の皆様と一緒に楽しいひと時を過ごさせていただきました。

  

こころのこもった1輪の花に癒されました
花言葉は「純粋な愛情」
後方は今季初咲きのバラ/花言葉「愛情・感謝」


 帰宅すると、嬉しいプレゼントが待っていてくれました。かつて利用してくださっていたNさんご夫妻が、「マザーズデー」のカーネーションを届けてくださったのです。夫の話によると、Mちゃんとは久しぶりの再会でしたが、笑顔でハイタッチのご挨拶をしてくれたとのことでメロメロです。2歳になったMちゃんに会なくて、とても残念に思います。

私たちを覚えていてくださるだけでも嬉しいことなのに、こうして訪ねてくださったのは、Mちゃんが健やかに成長されている証しだと感じました。

 

イヤイヤ期に突入して日々ご苦労も多いようですが、Mちゃんの子育てを楽しむ余裕ができたからこそと、我がことのように嬉しい気持ちでいっぱいです。

 

 出会いに感謝です。こちらこそ本当にありがとうございました。

 

 仲間と集いそして美味しいお茶をいただき、子ども以外の人からも母の日を祝っていただける幸せをかみしめています。

 

 

お茶銘は「関の白」 詰は一保堂
お菓子は美豆伎庵製 銘は青楓?

  夕食後、抹茶を点てていただきました。お茶の先生のお宅まで送迎してくれた

夫(一応こころほいくの相談役の名刺を持っています。(笑))への感謝を込めての一盌です。

 

 感謝の気持ちを言葉で伝えることの大切さを教えていただいた、そんな一日となりました。

  

 蛇足ながら…。

定期購読している月刊誌「母の友」4月号にこんな記事が載っていました。

「子どもを知るというたのしみ」井桁容子さん(子育て・保育カウンセラー)

のお話を紹介させていただきます。

 

発達心理学者アリソン・ゴプニックさんの著書から引用されて、

「親にとって何よりのご褒美は、子どもの成績やトロフィーではない。卒業や結婚でもない。自分の子どもと一緒にいる、そのときどきに体と心が感じる喜び、そして子どもがあなたと一緒にいて喜んでいることだ」と。

 

 数時間ぶりに対面したお母さんに見せてくれる子どもたちの笑顔を思い浮かべました。

2024年5月7日火曜日

子どもの涙とおもちゃの出会い

 

大型連休も終わりましたね。

  


春になるのを待って、鉢植えのブルーベリーを地に下ろしました。
狭い鉢から広い場所に移り、伸び伸び育っています。
子どもの成長と同じだとつくづく思います。

    

 

利用者がいらっしゃらない連休は、「こころほいく」の開設以来、今年初めてです。お子さん達のことを考えると喜ばしいことなのでしょうが、本音を言うとちょっぴり寂しいですね。

 

庭木の芽が日々伸びる様子にほっこりし、花のご機嫌を伺ったりしてゆっくり過ごさせていただきました。

 

3月に新しく仲間入りした八重咲のクレマチス
相性が良かったのか!?
すくすく育ち、たくさんの花を咲かせてくれました。

 

4月に入園した子どもたちにとって、この連休は一つの山場になります。新しい環境にようやく慣れた頃に長い休みに入るからです。大好きな家族と出かけて楽しく過ごした後の登園は、連休疲れも重なり、気鬱になるのは当たり前ですね。

 

連休明けだから涙が出るのは当たり前、環境の変化に敏感なお子さんの個性だと捉えれば、気持ちが楽になります。子どもが泣くには必ず理由があるはずですから、泣きたい時は泣きたいだけ泣くのが一番です。

 

「泣きたい気持ち」や「イヤイヤな気持ち」に寄り添い、受け止め、(泣きやむのを)「待つ」ことしかないように思います。

 

かつて、「泣かれることがつらい!」と悩んでいらっしゃったMちゃんのお母さまは、その後いかがお過ごしですか?Mちゃんも新しい環境に慣れて、笑顔いっぱいの園生活を送っていらっしゃることと思います。「そんなこともあったよね。」と、笑って話せる時がきっと訪れることと信じております。

 

当時、おもちゃを口に入れて「なめなめ期」真っ盛りだったMちゃん。存分になめてもいいように、安心して口に入れられるおもちゃを新しく用意させていただきました。

 

残念ながらその後Mちゃん親子さんはお見えにならなくなったので、このおもちゃはおもちゃ箱で眠ったままです。

 

左は手触りもよく、かさかさする感触が心地よく、
キリンのほっぺを押すとキュッキュと音がでます
右はくまちゃんの起き上がりこぼし
そっと押すとコロリンと音を出して倒れ、と思うと戻る!
見てよし!触ってよし!
五感を促す優れもの💛

 

 

おもちゃ箱から出られる日を待ちわびているかもしれませんね。(笑)

  

先日、Rくんとおばあちゃまがご挨拶に見えられました。この3月に職場を退職されて、これからはRくんのフォローに専念されるそうです。今まではRくんが体調を崩して園をお休みする場合、おばあちゃまの休暇の都合がつかない時にお預かりさせていただいておりました。おばあちゃんっ子のRくんも涙がたくさんでるお子さんでした。エピソードがたくさんあり、思い出がたくさんあります。

 

Rくんにとっては嬉しい環境の変化ですから素直に喜ばしいことです。ちょっぴり淋しい反面、こんな風にご挨拶に来ていただくことは冥利につきます。

 

これからはRくんの健やかな成長を祈念し、陰ながら応援させていただきます。恐竜が大好きなRくん、がんばれ!!

 

ありがとうございました。

2024年4月10日水曜日

4月 新たな思いでスタート

 

子どものとも社さんから今日届けていただいた絵本「あさいち」です。

復刊「あさいち」
え=大石可久也 かたり=輪島・朝市の人々
福音館書店刊


 

 元旦に起きた能登半島地震で被害を受けた被災地の一日も早い復興への願いを込めて、この度復刊された絵本です。そもそもは月刊誌「かがくのとも」で、1980年の1月号として発刊されたものです。

 

「輪島朝市」の活気ある風景と、おばあちゃん達が語る輪島の方言の売り買い言葉が生き生きと伝わってきたことを覚えています。保育士になって6年目の当時、子ども達に読んであげたのかどうかは、残念ながら記憶にありません。自分だけで楽しんでいたように思います。

 

 あれから44年の月日を経て、こんな形で復刊されるなんて誰も想像しなかったことですね。活気で賑わっていた「能登の朝市」は、すべてが焼失してしまいました。日々ニュースの中で映しだされる朝市通りの光景を見るのは、とても辛いことです。一日も早い復興への思いが募るばかりです

 

 復刊することになった経緯は、当時の絵本を記憶している人たちの中から、復刊を願う声が上がったと聞きました。復刊を願う人々が多いことで、当初の予定よりも増刷されたとのこと。そして利益は、「令和6年能登半島地震災害義援金」として日本赤十字社に寄付されるそうです。

 

 たくさんの人たちがいろんな立場で、いろんな形でこのような支援をしてくださっていることを知るにつけ、人の痛みを自分ごとに捉えられる思いやりや優しさが身近にあることにほっとしますね。

 つい先日、隣国台湾でも大きな地震がありました。国の内外を問わず、心の痛む出来事が頻発している昨今、遭遇した時「あなたはどう行動する?」と問われているように思います。

 

 目の前の子どもたちの「大切な命を守る」こと、「どう守る?」これは本当に重い、重いことです。緊張感で身が締まる新年度を迎えました。

 

 今年度もどうぞよろしくお願いいたします。

(「こころほいく」には、卒園式もなければ入園式もないのですが、…。)


2階のベランダから眺める白木蓮の木
入学式の頃に咲く花です
フェンス向こうが、「こころほいく」の駐車場


 

 国による子育て支援の政策が充実しつつある今日、「こころほいく」の利用者さんは、めっきり減ってきているのが現状です。すべての方のいろんなニーズを満たすことは、さすがに難しいというのも現実です。「あちこち申し込んだけど断られました。」という声を聞きます。そんな場合に連絡いただくのが、「こころほいく」だと捉えています。

 

「子どもの預け場所がなくて困った子育て時代」この時の辛い経験が、「こころほいく」の原点でした。この役割を終えつつある今日、「もう少し頑張って!!」の声が聴こえてくるようです。

 

 Mちゃん、Jくん、Sちゃん、Rちゃん…、元気ですか?

就園や進級、入学という新しい環境に早く慣れることを願っています。

 

4月は新たな出会いの季節ですね。庭の色とりどりの花を愛で、木々の芽吹きを眺め、ワクワク心躍る季節です。


2024年3月24日日曜日

春の足音

 

「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、寒さが和らぐというよりもまた冬に逆戻りしたような今年のお彼岸(春分の日)は、冷たい雨の降る一日でしたね。

 

そうは言っても季節は確実に巡り、木々は芽吹き、春の訪れを待ちわびています。スズメたちの朝のさえずりも賑やかで忙しそうに聞こえてくるこの頃です。


椿「侘助」/茶花
桜の開花はまだのようですが、「こころほいく」の
玄関前はピンク色の侘助が満開です


 

先日、久しぶりに夜のお仕事をさせていただきました。4人兄弟さんのお預かりでした。上の3人(8歳、6歳、4歳)のお兄ちゃんお姉ちゃんは初めての環境にもめげることなく、すぐに慣れてくれました。末っ子さんのQくん(1歳2か月)だけは、そんな簡単にはいきません。「ぼくのいる場所はここでないよー!」と言わんばかりに、涙で訴えます。

 

おばさんの手をふり払い、「おにいちゃん、たすけてー!」とばかりにお兄ちゃんのもとへ。つぎは、「おねえちゃん、たすけてー!」

 

お兄ちゃんお姉ちゃんは、遊びに忙しい傍ら、末っ子ちゃんの求めに応えて抱っこしてあげている姿は、弟を思う愛に包まれて微笑ましい限りです。

 

この間、すぐ上のお兄ちゃんNくん(4歳)は、遊びに集中しています。これもまたあっぱれな姿だと感心させられました。

 

ところが、…。

さて、お食事の場面になり気づいたことは、Nくんなりの弟Qちゃんへの思いやりです。

 「Qちゃんはごはんがだいすきで、おとうふはたべるけどにんじんはたべないよ。」と、Qちゃんの喜ぶものをおばさん(私)に教授してくれるのです。「わかったよ。教えてくれてありがとう!」

 

この傍ら、Sくん(8歳)とKちゃん(6歳)は自分のお食事に全集中!

 

 先ほどの姿とは打って変わり、3人のバランスと対比が絶妙でした。三者三様の思いやりの表現と、兄弟愛がひしひしと伝わってくる微笑ましい光景でした。

 

 それぞれのお子さんが心の安全基地をしっかり持っているからこそ、兄弟(他者)を思いやることができるのでしょうね。ご両親の愛情がベースにあり、兄弟同士で育ちあっていることがよく分かりました。

 

  こんなエピソードも…。

「これつかいたい!」とSくん。「Q ちゃんが間違って飲み込むと危ないから、使わせてあげられずごめんね!」と説明すると、即納得してくれたSくんでした。

使いたい気持ち(感情)と弟を思いやる気持ち(理性)のコントロールがしっかりできています。

 

2時間余りのお預かりでしたが、夜のお仕事にも関わらず、清々しく微笑ましい気持ちにさせていただきました。

 

 この2時間余りのために一生懸命お弁当を作ってくださったお母さま、お疲れ様でございました。そして、ありがとうございました。

 

厳しい冬を乗り越えて、「ミモザ」がようやく咲いてくれました
3月8日は「国際女性デー」
お仕事に子育てに頑張っていらっしゃるお母さんに
「感謝」の思いを込め贈りたいミモザの花です
黄色い花は元気がでますね!


 

2024年3月4日月曜日

桃の節句 雛祭り

 

お子さんをお預かりしている時の喜びの一つが、「これ、よんで!」と

言われて絵本を読んであげるひと時です。「分かったよ。」と平静を装いつつ、心のつぶやきは「やったー!」の気分です。お子さんに絵本を読んであげる時間は、私にとって、かけがえがない至福の時です。

 

「こんな遊びもあるよ。」と、おもちゃ遊びの提案はしているのですが、「絵本を読む」ことに関しては、やや消極的かもしれません。「絵本への興味の機が熟す」のを待ちたいという思いが強いからかもしれません。

 

先日、5歳のTくんをお預かりしました。初めての環境にも関わらず、すぐに慣れて、真っ先に絵本棚に興味をしめしてくれました。

 

赤ちゃん向け絵本が中心の絵本棚なので、Tくんには物足りないだろうなと思ったのは、大人の見方だったことが分かりました。Tくんが喜ぶだろうと思われる数冊を絵本の部屋から選んで、さりげなく目の前に置いてみましたが…。余計なお世話だったようです。

 

赤ちゃん向け絵本を数冊読んでもらった後、Tくんが興味を示したのは、描かれている絵だったことが分かりました。

 

たまたま2冊あった「ぐりとぐら」の絵本にくぎ付けになったTくん。47年前の「ぐりとぐら」(1977年 第33刷)と昨年買った「ぐりとぐら」(2023年 第246刷)の2冊を開きながら「いろが ちがうよ!」と、やや興奮気味のTくん。ぐりとぐらの洋服、木、かすてらなど色のすべてを見て、「ほら、これもちがうよ!」「なんでだろう?」と、不思議さにすっかり魅了されたTくんでした。

 

「ぐりとぐら」なかがわりえことおおむらりえこ 福音館書店刊
左1977年版 右2023年版
初版は1963年 半世紀以上60年間愛され続けた絵本です


大人が気づかないところを子どもは本当によく見ていますね。それからは、「ほんとだ。よく気づいたね!」「すごいね!」の連呼になりました。

 

Tくんが絵を見ている(読んでいる)姿から、以前に講演会で聞いた話を思い出しました。

 

「子どもは絵を読む」と言われています。例に上げられるのが、「おおかみと七ひきのこやぎ」(グリム童話 フェリクス・ホフマン え/せたていじ やく 福音館書店刊)の絵本です。

こやぎたちが留守番をしている家に
おおかみが襲ってきた場面
こやぎが必死で隠れようとするその棚
その奥に飾られた写真立が見えます
「おとうさんがいました!」


お母さんと七ひきのこやぎ、そしておおかみが登場するこのお話の中には、お父さんは登場しません。そこで気になるのが、お父さんの存在です。

 

「おとうさんは、しんだんだよ。」と、一人のお子さんが言ったそうです。お父さんの写真が棚の上に飾られている絵を場面の中でしっかり読みとっていたのですね。「おおかみにたべられたのかもしれない。」とも言ったそうです。

 

子どもならではの感性で、まさに絵を読んでいるからこその気づきですね。大人では、到底気づけないように思います。

 

Tくんの絵本の楽しみ方に助けられ、数時間を楽しく過ごさせていただきました。改めて絵本の力の大きさを感じた日でもありました。

 

 

家の顔玄関でミニお雛様でお出迎え

そして今日は、3月3日雛祭りです。女のお子さんの健やかな成長を祝う桃の節句です。嬉しいことに、Sちゃん(1歳3か月)をお預かりさせていただくことになりました。

 

雛あられに甘酒でお祝いという訳にはいきませんので、「♪きょうは、うれしいひなまつり♫」の歌を心込めてうたい、お茶とおせんべいでお祝いをしました。初めての環境で涙もたくさん出たSちゃんでしたが、この時にはにっこり!!❤

 

慣れてきた頃を捉えて、「ひなまつりこびとのおはなし」(まついのりこ さく)を膝の上で読んでもらい、ちょっぴり、雛祭り気分になりました。

 

Sちゃんではありませんが、美味しいお菓子とお茶は人の心を穏やかにしてくれます。ここ数日の雛祭り週間に訪れたお客様に、抹茶とお菓子でおもてなしをさせていただきました。心が和むと会話も弾みますね。

 

「一盌からピースフルネスを」の心にあやかりたいと思っています。

 

 

大人との語らいのひと時
「お抹茶と季節のお菓子」でおもてなしを

 

2024年2月3日土曜日

節分

 

中央は「福の神」(美濃和紙製)
20数年前、研修で岐阜に行った時に求めました
後方の葉牡丹/花言葉は「慈愛」
今時の園においては、落花生ではなく紙製の豆が主流のようです

保育園で働いていた頃、ある園でのことです。

 節分の日の私の役割は、「福の神」を演じることでした。「子ども達が豆をまいて鬼を追い払った後に、着物姿の福の神が現れて春を呼び込む。」という設定だったと思います。節分の行事を担当した職員の遊び心からの提案だったと思います。(今思えば、めったにできない貴重な経験をさせていただきました。後輩に感謝です。)

 

 今年は、病気や災害を追い払いたい気持ちが例年よりも強く、しまい込んでいたお面の存在を思い出して、出してみました。全く劣化しておらず、久々に表舞台に登場させてみました。()

 お福さんの横で赤鬼が小さくなっているのが、可愛いですね。

「鬼は外!福は内!」たくさんの福や幸いを呼び込みたいです。

 

 

 

豆をまく人と鬼役と役割分担をして、豆まきをしました。
その後は、大人だけの茶会を開き、赤鬼をパックン!
抹茶と共に飲み込みました。(笑)
正真正銘の鬼退治!!

 今年もリアルタイム、お預かりのお子さんはいらっしゃらないのですが、

冬と春の季節の節目である「節分」に「厄を払い、福を願う」伝統行事を大切にしていきたいと思っています。明日は、「立春」です。本当の春が待ち遠しいですね。

                

💛絵本「だいじょうぶ だいじょうぶ」

    

いとうひろし◎作・絵
講談社刊


「ぼくが いまより ずっと あかちゃんに ちかく、

おじいちゃんが いまより ずっと げんきだった ころ、

ぼくと おじいちゃんは

まいにちのように、おさんぽを たのしんでいました。」

おじいちゃんとの散歩で、いろんなことに遭遇し、たくさんの発見をし、世界を広げ成長した「ぼく」とおじいちゃんが主人公のお話です。

 

「でも、あたらしい はっけんや たのしい であいが ふえれば ふえるだけ、こまった ことや、こわい ことにも、であうように なりました。」

            (中略)

だけど その たびに、おじいちゃんが たすけてくれました。

 

おじいちゃんは、ぼくの てを にぎり、おまじないのように つぶやくのでした。『だいじょうぶ だいじょうぶ』」

 

ぼくが、いろんな困難に遭遇した時にかけてくれるおまじないのような言葉、

「だいじょうぶ だいじょうぶ」

「ぼくと おじいちゃんは、なんど その ことばを くりかえした ことでしょう。」

 

「なんども ころんで けがも したし、

なんども びょうきに なりました。

でも、そのたびに、すっかり よくなりました。」

 

こうして、ずいぶん おおきくなった ぼくのばんです。

「(ずいぶん歳をとった)おじいちゃんの てを にぎり、

なんどでも なんどでも くりかえします。

『だいじょうぶ だいじょうぶ』 

だいじょうぶだよ、おじいちゃん。」


おじいちゃんの てを にぎり、
なんどでも なんどでも くりかえします。
「だいじょうぶ だいじょうぶ。」
だいじょうぶだよ、おじいちゃん。


    

 おじいちゃんの愛情に包まれて優しい大人に育った「ぼく」と孫への愛にあふれたおじいちゃんのお話に、熱いものがジワジワとこみ上げてきて、読み終わると心がほっこりする絵本です。

 

何でもかんでもだいじょうぶな訳ではなく、しっかり根拠を持って、冷静に「だいじょうぶ だいじょうぶ」と言ってあげられる、そんな大人でありたい願い、この絵本を子どもたちに読んでやった記憶があります。

 

辛い時にこそ、この言葉を思い出して、おまじないのように言いたい!

「だいじょうぶ だいじょうぶ」


 今だからこそ、子ども達に読んであげたい絵本の1冊です。