2020年5月19日火曜日

絵本大好き!

  💛思い出の1冊 「のえんどうと100にんのこどもたち」

    
甲斐信枝さく 福音館書店刊
植物こよなく愛する甲斐信枝さんの絵本です。
文も絵の色合いも優しく、自然への愛に満ちています。
    
    ある朝のこと。
玄関で子どもたちの受け入れをしていた私の前に、年長児のRちゃん(女児)が
やって来て、「せんせい、これ!」と手に持っていたピンク色の花を差し出して
くれました。
   「ありがとう!可愛い花だね。」と受け取ると、はにかみながらにっこりうなず
   いたRちゃん。
   
    転勤してきてまだ日が浅かったこの頃。
 声掛けをしても返事がないこともあり、無口でおとなしいRちゃんが、実はとても
 気になっていました。「私のことを受け入れてくれたのかな。」と、嬉しくなりま
 した。

 Rちゃんとの会話がふくらんでいく絶好のチャンスでしたのに、当時の私には知識
がなく、その花の名前を知りませんでした。情けないですね。

 「Rちゃん、ごめんなさい。この花の名前が分からないから、調べておくね。」
と、私は正直に謝ると、Rちゃんは、再びにっこりとうなずいてくれました。

 こんなことがあった数日後、図鑑で調べたりしながら、絵本棚で1冊の絵本と出会
いました。まさにあのピンクの愛らしい花(カラスノエンドウ)が主人公の絵本でし
た。まさにタイムリーな出会いだったのです。
   
    さっそくRちゃんのところに飛んで行き、花の名前を告げると、絵本のページを
   一緒にめくってみました。
   
    「子どもを守りたい!」という(のえんどうの)お母さんの深くて強い愛が伝わ
   ってくる、のえんどうという雑草のたくましさが描かれている絵本でした。

 Rちゃんに、どこまで伝わったかは分かりませんが、1冊の絵本を通して二人の心
が一つになる、「絵本の力」のすごさを感じた瞬間でした。

       
マメ科ソラマメ属の一年生雑草で、
標準和名は「ヤハズエンドウ」というそうです。
キヌサヤのような緑色の豆がやがて黒く熟し、
はじけて種として飛んでいく、たくましい雑草です。
 今、まさに真っ盛り。我が家の庭で伸び伸びと生えているカラスノエンドウたち。
摘んでも、摘んでも後から生え、伸びていくたくましい雑草です。

 Rちゃんとのエピソードを思い出すたび、生きようとする雑草の命を摘むことに
「(摘んで)ごめんなさい!」という不思議な気持ちになっています。
   
    雑草のごとく、踏まれても、踏まれても強くたくましく成長していて欲しいと願
   い、二十数年後のRちゃんの姿を想像しているこの頃。
   
    新潟では、緊急事態宣言は解除されましたが、今までの日常に戻るには長い時間
   と長い道のりを歩くことになりそうですね。

 長い間、子どもと関わる仕事を続けてきて、肌と肌がふれあうことで安心して
泣きやむ赤ちゃんをたくさんみてきました。どれだけ心が癒されてきたこと
 でしょうか。

 今、「大切な人の命を守る行動」の一つとして求められていることが、「人と人と
の社会的距離(2m)を保ちましょう。」ということです。
 
 この言葉を耳にするにつけ、医療従事者の方々はもちろんですが、介護や保育など
の現場で、「人と人とがふれあう」仕事をされている方々は、今どんな気持ちでお仕
事なされているのかと、そのご苦労を察するに余りあります。
 
 ただ、ただ… 敬意と感謝の念あるのみです。

 自粛生活を送りながら草取りに夢中になっていたある日、ふと過ぎし日のことを思
い出していました。