わが家の玄関を出て、私の足で40歩ほど歩くとカモの親子が時々群れている川が流れています。その川に沿って200歩ほど足を進めると、田んぼの景色が広がってきます。(利用者さんとの散歩コースでもあります。)
北の方向を遠く望むと飯豊連峰の頂には雪化粧が残るこの頃、5月の連休を挟んで田植えの準備が始まります。夜には、満々と水が張られた田んぼから「カエルの合唱」が聞こえてきて、最近の心を騒がされている日常の中で、ほっとする瞬間です。
つい先日のこと。我が家に珍しいお客様が訪れるようになりました。
家人に手招きで呼び出されたその先、玄関前の電線に止まっていたのは、ツバメでした。
時折聞こえてくる「ツピ、ツピー!」の鳴き声の正体は、なんと遠く南からはるばるとやってきた渡り鳥のツバメだったのです。
様子を見ていると、車庫の(電動)シャッターが開く度に、その隙を見計らってのせわしない出入りをしていることが分かりました。
そして、さらに
1羽だけだと思っていたのが、もう1羽の存在が明らかになり…。
<5月の青空とツバメ>
とても見づらいのですが、間違いなくツバメです。
二つの屋根の上、電線の左手と右手それぞれに小さく写っています。
2羽がそれぞれに我が家の車庫の方を向いて止まっています。
2羽のツバメ。もしや?
つがい(夫婦)の可能性が大であると、家族の中で意見が一致しました。
子育てのできるマイホーム(巣)の物件を探していたのかもしれませんね。(笑)
昔からツバメが家に巣を作ると縁起が良いという話も聞きますし、人通りの多い家の軒先に巣を作るという話も聞きます。外敵から自分たちを守ることのできる「家」として、
どうも我が家の車庫が選ばれたようで、光栄と思うしかありませんね。(笑)
そしてある夜。
車庫をのぞいた時のことです。空間利用で作った靴棚に数足並んでいた1足、スニーカーそれぞれに1羽1羽のツバメがすやすやと眠っている光景が目に入ってきました。
まるで絵本「そらまめくんのベッド」の中の、そら豆の殻にすやすや眠る(鳥の)うずらのような、お話に出てくる世界だと思いました。その光景が何とも愛らしく、若いつがい(夫婦)の姿に胸を打たれるものを感じました。
スニーカーの中?
人間同様に、住宅事情や子育て事情も変わりつつあるのかしらと半信半疑でウワサしている家人たちです。
されど、ツバメの習性としては、泥と枯草で巣を作ると思っていましたので、果たして本当のところは分かりません。家人がその在りかを探してみたものの、謎のままです。
安全地帯から巣立った後、探索してみるしかないですね。(笑)
選ばれた家の住人としては、守ってやるべき存在としての義務のようなものすら感じ始めているところです。
ここ最近、時々出没している体が黒く、大きい鳥カラスの存在がとても気になるところでありますが、…。
車庫前の電線に止まっているツバメに気づいたあの時。思い出せば、車庫を見下ろす眼は、見張っている眼のように鋭く、2羽が「ツピ、ツピー!」と言葉を交わし、合図をしていたようにも思えます。人間界で言えば、子育ての相談だったのかもしれませんね。
役割分担があって、卵を温めるメス(母)と、エサを運び見張る役割のオス(父)の2羽が協力し合って全力で子育てをしている姿は、人間と同様、もしかしたらそれ以上かもしれません。
昔、元上野動物園園長の中川志郎さんのお話を聴く機会がありました。日本に初来日したジャイアントパンダの飼育に獣医師として携わった方のお話でしたので、とても興味深い内容でした。
『100gという超未熟児で産まれたパンダの赤ちゃんをほぼ1日中、母親が舐めて育てるという子育て法。子どもが激しく鳴く時には、1分回に80~100回舐め続けるという行為は、かなりの重労働であり、少しでも気を抜くと赤ちゃんの生命にも関わるほどの重大なことであること。』などなど。
人間はもちろんのことですが、鳥も動物も、子どもを持つ親は必死で子育てに関わっていることを改めて感じさせてもらった出来事、ツバメとの出会いでした。
頑張っていらっしゃるお母さまの姿をたくさん見せていただいてきた3年半。
そんなお母さまを応援したいという気持ちは、その時と少しも変わりなく、「こころほいく」のポリシーとさせていただいております。
まさに、今日は「母の日」
「ツバメ、がんばれ!」「おかあさん、がんばれ!」
子育てを頑張るお母さまたちを今後も応援していきたいと思っております。