2024年3月24日日曜日

春の足音

 

「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、寒さが和らぐというよりもまた冬に逆戻りしたような今年のお彼岸(春分の日)は、冷たい雨の降る一日でしたね。

 

そうは言っても季節は確実に巡り、木々は芽吹き、春の訪れを待ちわびています。スズメたちの朝のさえずりも賑やかで忙しそうに聞こえてくるこの頃です。


椿「侘助」/茶花
桜の開花はまだのようですが、「こころほいく」の
玄関前はピンク色の侘助が満開です


 

先日、久しぶりに夜のお仕事をさせていただきました。4人兄弟さんのお預かりでした。上の3人(8歳、6歳、4歳)のお兄ちゃんお姉ちゃんは初めての環境にもめげることなく、すぐに慣れてくれました。末っ子さんのQくん(1歳2か月)だけは、そんな簡単にはいきません。「ぼくのいる場所はここでないよー!」と言わんばかりに、涙で訴えます。

 

おばさんの手をふり払い、「おにいちゃん、たすけてー!」とばかりにお兄ちゃんのもとへ。つぎは、「おねえちゃん、たすけてー!」

 

お兄ちゃんお姉ちゃんは、遊びに忙しい傍ら、末っ子ちゃんの求めに応えて抱っこしてあげている姿は、弟を思う愛に包まれて微笑ましい限りです。

 

この間、すぐ上のお兄ちゃんNくん(4歳)は、遊びに集中しています。これもまたあっぱれな姿だと感心させられました。

 

ところが、…。

さて、お食事の場面になり気づいたことは、Nくんなりの弟Qちゃんへの思いやりです。

 「Qちゃんはごはんがだいすきで、おとうふはたべるけどにんじんはたべないよ。」と、Qちゃんの喜ぶものをおばさん(私)に教授してくれるのです。「わかったよ。教えてくれてありがとう!」

 

この傍ら、Sくん(8歳)とKちゃん(6歳)は自分のお食事に全集中!

 

 先ほどの姿とは打って変わり、3人のバランスと対比が絶妙でした。三者三様の思いやりの表現と、兄弟愛がひしひしと伝わってくる微笑ましい光景でした。

 

 それぞれのお子さんが心の安全基地をしっかり持っているからこそ、兄弟(他者)を思いやることができるのでしょうね。ご両親の愛情がベースにあり、兄弟同士で育ちあっていることがよく分かりました。

 

  こんなエピソードも…。

「これつかいたい!」とSくん。「Q ちゃんが間違って飲み込むと危ないから、使わせてあげられずごめんね!」と説明すると、即納得してくれたSくんでした。

使いたい気持ち(感情)と弟を思いやる気持ち(理性)のコントロールがしっかりできています。

 

2時間余りのお預かりでしたが、夜のお仕事にも関わらず、清々しく微笑ましい気持ちにさせていただきました。

 

 この2時間余りのために一生懸命お弁当を作ってくださったお母さま、お疲れ様でございました。そして、ありがとうございました。

 

厳しい冬を乗り越えて、「ミモザ」がようやく咲いてくれました
3月8日は「国際女性デー」
お仕事に子育てに頑張っていらっしゃるお母さんに
「感謝」の思いを込め贈りたいミモザの花です
黄色い花は元気がでますね!


 

2024年3月4日月曜日

桃の節句 雛祭り

 

お子さんをお預かりしている時の喜びの一つが、「これ、よんで!」と

言われて絵本を読んであげるひと時です。「分かったよ。」と平静を装いつつ、心のつぶやきは「やったー!」の気分です。お子さんに絵本を読んであげる時間は、私にとって、かけがえがない至福の時です。

 

「こんな遊びもあるよ。」と、おもちゃ遊びの提案はしているのですが、「絵本を読む」ことに関しては、やや消極的かもしれません。「絵本への興味の機が熟す」のを待ちたいという思いが強いからかもしれません。

 

先日、5歳のTくんをお預かりしました。初めての環境にも関わらず、すぐに慣れて、真っ先に絵本棚に興味をしめしてくれました。

 

赤ちゃん向け絵本が中心の絵本棚なので、Tくんには物足りないだろうなと思ったのは、大人の見方だったことが分かりました。Tくんが喜ぶだろうと思われる数冊を絵本の部屋から選んで、さりげなく目の前に置いてみましたが…。余計なお世話だったようです。

 

赤ちゃん向け絵本を数冊読んでもらった後、Tくんが興味を示したのは、描かれている絵だったことが分かりました。

 

たまたま2冊あった「ぐりとぐら」の絵本にくぎ付けになったTくん。47年前の「ぐりとぐら」(1977年 第33刷)と昨年買った「ぐりとぐら」(2023年 第246刷)の2冊を開きながら「いろが ちがうよ!」と、やや興奮気味のTくん。ぐりとぐらの洋服、木、かすてらなど色のすべてを見て、「ほら、これもちがうよ!」「なんでだろう?」と、不思議さにすっかり魅了されたTくんでした。

 

「ぐりとぐら」なかがわりえことおおむらりえこ 福音館書店刊
左1977年版 右2023年版
初版は1963年 半世紀以上60年間愛され続けた絵本です


大人が気づかないところを子どもは本当によく見ていますね。それからは、「ほんとだ。よく気づいたね!」「すごいね!」の連呼になりました。

 

Tくんが絵を見ている(読んでいる)姿から、以前に講演会で聞いた話を思い出しました。

 

「子どもは絵を読む」と言われています。例に上げられるのが、「おおかみと七ひきのこやぎ」(グリム童話 フェリクス・ホフマン え/せたていじ やく 福音館書店刊)の絵本です。

こやぎたちが留守番をしている家に
おおかみが襲ってきた場面
こやぎが必死で隠れようとするその棚
その奥に飾られた写真立が見えます
「おとうさんがいました!」


お母さんと七ひきのこやぎ、そしておおかみが登場するこのお話の中には、お父さんは登場しません。そこで気になるのが、お父さんの存在です。

 

「おとうさんは、しんだんだよ。」と、一人のお子さんが言ったそうです。お父さんの写真が棚の上に飾られている絵を場面の中でしっかり読みとっていたのですね。「おおかみにたべられたのかもしれない。」とも言ったそうです。

 

子どもならではの感性で、まさに絵を読んでいるからこその気づきですね。大人では、到底気づけないように思います。

 

Tくんの絵本の楽しみ方に助けられ、数時間を楽しく過ごさせていただきました。改めて絵本の力の大きさを感じた日でもありました。

 

 

家の顔玄関でミニお雛様でお出迎え

そして今日は、3月3日雛祭りです。女のお子さんの健やかな成長を祝う桃の節句です。嬉しいことに、Sちゃん(1歳3か月)をお預かりさせていただくことになりました。

 

雛あられに甘酒でお祝いという訳にはいきませんので、「♪きょうは、うれしいひなまつり♫」の歌を心込めてうたい、お茶とおせんべいでお祝いをしました。初めての環境で涙もたくさん出たSちゃんでしたが、この時にはにっこり!!❤

 

慣れてきた頃を捉えて、「ひなまつりこびとのおはなし」(まついのりこ さく)を膝の上で読んでもらい、ちょっぴり、雛祭り気分になりました。

 

Sちゃんではありませんが、美味しいお菓子とお茶は人の心を穏やかにしてくれます。ここ数日の雛祭り週間に訪れたお客様に、抹茶とお菓子でおもてなしをさせていただきました。心が和むと会話も弾みますね。

 

「一盌からピースフルネスを」の心にあやかりたいと思っています。

 

 

大人との語らいのひと時
「お抹茶と季節のお菓子」でおもてなしを