2024年1月29日月曜日

子どもの笑顔

 

 記憶に残る年の幕開けとなったあの日から、もうすぐ1か月が経とうとしています。いつもは月日の経つ早さに驚くばかりですが、この度ばかりは長く、長く感じられました。あの大きな揺れの記憶は、いまだ鮮明に残っています。

 

被災地の皆さまにとっても、厳しい寒さのなかにあっていろんな思いを抱きながらの1か月ではなかったでしょうか。

 

昨日より今日、今日より明日が少しでも良くなり、前に進むことのできる日々であって欲しいと願っております。心よりお見舞い申し上げます。

 

 かけがえのない子どもの笑顔について前回お話させていただきましたが、その笑顔の源は、やはり信頼と安心であることを改めて感じたエピソードを紹介させていただきます。

 

 もうすぐ8か月になるTちゃんを、およそ4か月ぶりに先日お預かりさせていただきました。この間に、人見知りの真っただ中に突入していたTちゃんとの再会でした。

 

 お父さんとお母さんをお見送りした後のTちゃんは、涙、涙の連続でした。4か月前の記憶があるはずもなく、知らない人のところに連れてこられたTちゃんにとっては、至極当然のことです。

 

泣いているお子さんをいかにして泣きやませるかが、保育技術だと思われがちですが…。こんな時は、ただただ、泣きたい気持ちでいるお子さんに寄り添い、「泣いているあなたも可愛いよ。大好きだよ。」が伝わるように、笑顔の中に思いを込めるばかりです。

 

とは言っても、抱っこする傍ら、吊るしてあるおもちゃ(モビール、蝶々、オルゴールなど)を紹介しつつ、「大きい蝶々は、ママかな?」「こっちの小さい蝶々は、Tちゃんかな?」「くまちゃんだよ。かわいいね。」などなど、Tちゃんのお気に入りのものが見つかることに望みをかけ、丁寧な言葉かけも忘れません。

 

 一生懸命に泣いているTちゃんですが、聴く耳のアンテナが立つ瞬間と間が生まれ、余裕が感じられるようになり、泣き方も変わってきたように感じました。

 

 お家でのお気に入りのおもちゃ(布製の絵本)で遊び始めたTちゃん。遊びの合間に、視線をこちらに向けてきます。この瞬間を捉え、「ちゃんとあなたのこと見ているよ!大丈夫だから安心して遊んでね。」と、笑顔で返します。こんなやり取りを数回繰り返すうちに、互いの間の距離が一気に縮んでいく感覚が不思議と湧いてくるのです。

 

 きっとこうしてお父さんとお母さんに見守られ、愛情たっぷりに育っているお家での姿が想像できました。違う環境におかれて泣くのは当然ですね。

 

 でも、この後からのTちゃんは、泣くこともなくなりました。少し時間はかかりましたが、信頼できる存在として認めてもらえたようです。

 

 こうして、お昼寝をまじえての6時間はあっという間に過ぎていきました。

 

そして、お迎えに来られた時のTちゃんの姿を想像してみました。

大好きなお父さんとお母さんに再会し、安堵感で泣くかもしれません。

 

 でも、Tちゃんの顔は、ニッコリ笑顔です。Tちゃんは、笑顔で喜びを表現してくれました。私たちには決して見せなかった最高の笑顔です!

どんなに頑張っても、お父さんとお母さんの愛の力には及びません!

信頼と安心の強い絆を感じた瞬間でした。

 

 子ども達を取り巻く私たち大人に、今できることは何でしょうか!?

信頼される大人でありたい、ひとり一人が互いに支えあえる社会であって欲しいと願います。

 

 先日のことです。(1/20)

 能登半島地震で被災されたある女性(82歳)が、話されていた言葉が印象に残りました。ビニールハウスで自主避難されている方だったと記憶しています。

 

「20日ぶりにお風呂に入れてもらって、さっぱりして気持ちが良かった。気持ちがさっぱりすると前に進もうとする気持ちも湧いてくるから、早く水がでるようになると有難いです。」と、こんな趣旨の内容だったと思います。

 

自分が大変な真っ只中にあって、こんな言葉を笑顔で言える方の素晴らしさに感動しました。苦境にあっても前に進もうとする力と人への感謝の心を忘れない、見習いたいと思いました。

能登の美しい自然と人の心が育んでくれた、まさに「生きる力」だと強く感じました。「生きる力を育む」保育の命題だと感じているこの頃です。

 

 

先日道に迷ったという利用者さんがいらっしゃいましたので、再度ご案内させていただきます。

 

こころほいくの駐車場
こころほいくは、5条通り
駐車場は、6条通りに面しています
川添いから曲がって、いずれも2軒目にあります

この度、「こころほいく」の専用駐車場(4台分)を造らせていただきました。クリスマスの頃に完成し、幸いにもこの度の地震の影響もなく、安堵しているところです。

余裕をもって止めていただくことができるので、ご安心ください。

フェンスの向こう側の更地では、先日の雪の日、I ちゃん(5歳)と一緒に雪投げやソリ遊びを楽しむことができました。まさにタイムリーな活動でした。

 

 

         

2024年1月8日月曜日

事始め

 年が明け、新たな気持ちで迎えたお正月。
 干支の中でも縁起がいいと言われている龍にちなみ、災い(戦争や災害など)を吹き飛ばしてくれる、そんな年であって欲しいと願っておりました。 

 
 そんな矢先、能登半島地震が起こりました!! 
家はぐらぐらと大きく揺れ、その間に感じた恐怖は記憶の中にはっきりと刻まれています。  

 今は、これまで通りの生活ができている私ですら、テレビで報道される映像を見るにつけ心が痛む日々です。この度の地震で被災された方々や大切なご家族を失われた方々が、どんな思いでいらっしゃるのでしょう。悲しみや不安、恐怖そして生活する困難さなど辛い日々をお過ごしのことと思います。  

 
 いろいろな思いで過ごした7日目の今日、40年近く続けている茶道(裏千家)の先生のお宅で、初釜式(新年を祝う茶会で、稽古の始まりの日です)がありました。 

       
 

 「こんな折に慶事を行うことへのためらいや犠牲になられた方を痛み、追悼の祈りを捧げましょう。今年は初点式といたします。」と、冒頭での先生のご挨拶がありました。そして黙とうをしてからの開式となりました。


            
三具足(花瓶・香炉・燭台)
菓子と供茶を前に
祈りを捧げさせていただきました


  釜で沸かした湯で先生が点ててくださるお茶(濃茶)を一服、美味しくいただける、こんな恵まれた時間の過ごし方があるでしょうか。そこには感謝の言葉しかありませんでした。

  床の掛物は、裏千家十五代家元鵬雲斎大宗匠の若い時のお筆で、
 「和を以て尊し(貴し)となす」(聖徳太子が制定した憲法十七条の第一条の言葉より)と書かれてありました。そして、令和6年歌会始のお題は、「和」とのこと。 


「和を以て貴しとなす」
鵬雲斎大宗匠お筆
手前 正月飾り(蓬莱山荘り)

  

 大宗匠は100歳を迎えられた今もご健在で、平和への願いを強く持ち、「1わんからピースフルネスを」をスローガンに、世界を歴訪されています。  

 「初点式としましょう。」という先生の思いが、床の掛物に表されていると理解いたしました。私も同じ思いにつき動かされていると感じています。  

 今を生きるものの一人として何ができるのだろうか、何をなすべきだろうかと考えます。 

  今も保育に携わらせていただいている者の一人として、しっかり考えていきたいと思います。 

 
 地震当日の避難途中、「お預かりしているお子さんがいらっしゃる日での遭遇でなく、良かった!」という本音が頭をよぎりました。  

 「実際にどう動くべきか!」を考えた時、月1回行っている避難訓練の大切さを思い出しました。こころほいくでは、大半が書面での訓練で終わっている実情があります。その虚しさを感じつつも、頭の中で描くシュミレーションを言語にして、見える化していくことの大切さを改めて感じたところです。  

 その後、非常持ち出しリュックの中身を点検整備し、そして今日は非常食の入れ替え時期が来ている食料を、訓練のつもりで食してみました。お世辞にも「美味しい!」とは言えませんが、アルファ化米にお湯を注ぐと15分で出来る物なので、重宝すると思います。

         
大人の茶碗で軽く2杯いただけます 270g

  
 
 
 さて…。 明日(日付変更線を越えて、今日になりましたが)お預かりする予定のお子さんは、7か月の赤ちゃんTちゃんです。こころほいくを信頼してくださってのご依頼だと思います。身が引き締まる思いで、お預かりさせていただきます。  

 くったくのない赤ちゃんの笑顔は、沈みがちだった7日間のいろいろな思いを、一瞬のうちに吹き飛ばしてくれることと信じています。  

 赤ちゃんの笑顔、子どもの笑顔や笑い声が絶えないような「未来の社会」であって欲しいと切に願います。子どもは希望であり、未来です。  

 皆さまにとって、「生きていてよかった!」と思える日が一日でもたくさんある年になりますように! 

  「無事」過ごせることを願って、こころほいくの年頭のご挨拶とさせていただきます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。


         

今年は辰年
空高く登る龍にあやかりたいですね



                 ※後方に見える建物がこころほいくです
                  裏の敷地を整備し、駐車スペースを作らせていた                  
                  だきました。
                  ドアを壁にぶつける心配もなく、ご安心ください。