実は、数日前に一つ歳をとりました。
子どもたちや、友人、お店などなど、“誕生日おめでとう”のメッセージがたくさん届きました。お祝いをしてもらう喜びはもちろんのことですが、今の年齢にさらに歳を重ねることへの抵抗感もあります。
誕生日を祝ってもらうことは、自分の存在を認めてもらっているという実感がもてる日だと思います。歳を重ね、元気でこの日を迎えられたことにただただ感謝あるのみです。
職場でも家庭でも、誕生日という節目の日を大切にしたいと思ってきました。
現役時代、保育園では月1回の恒例行事として、誕生会を催し、お祝いをしてきました。
子どもたちはホールに集まり、誕生月の子どもたち全員を一緒にお祝いするやり方でした。誕生日をまだ迎えていない子どもにも、「お誕生日おめでとう。何歳になりましたか?」という問いかけに、違和感を覚えるようになったのは最近のことでした。
集団の中にあっても、「一人ひとりの子どもを大切にし、個を尊重する。」という視点から、本当の誕生日をリアルタイムでお祝いしてやりたいと思い、そんな当たり前のことが退職間際になり、ようやく実現することができました。
「あなたはあなたのままでいいのよ。」「あなたのことをいつも見守ってくれている人が、ちゃんとここにいるよ。」と、そんなメッセージを伝えることが自己肯定感に繋がってくれることを信じ、保育士生活を続けてきました。
満3歳になったばかりのお子さんのエピソードです。
折り紙の裏面を使って、鉛筆で何やら一生懸命書き物をして遊んでいました。
「できたよ。」
「なあーに?」と私が尋ねると、「ママ、だ~いすき!って、かいたんだよ。」とYちゃんは答えました。絵ではなく、文字だったのですね。(ごめんなさい!)
「そうなの。じょうずに書けたね。ママが見たらきっと喜ぶね。」と伝えました。文字として読むには少し無理があるのですが、子どもなりに一生懸命メッセージを伝えようとしている姿に、胸が熱くなりました。子どもにとって、お母さんは最高の存在ですね。
お子さんをお預かりしていると新たな発見と喜びの連続なのですが、この日も感動をいただきました。ありがとうございます。
<誕生日>
子どもたちに読んであげていた絵本の中の1冊を紹介させていただきます。
「たんじょう日のおいわいに、なにを おかあさんに あげたら いいかなあ」と考えた主人公の男の子ダニーは、おかあさんにあげるものをみつけにでかけます。
途中、めんどりや だちょう、やぎやひつじ、めうしと出会い、尋ねました。
「おかあさんのたんじょう日に、なにか あげるもの ないかしら」
「それじゃ、わたしが うみたての たまごを ひとつ あげましょう」とめんどりは答えます。
(親切な)動物たちは、「たまごや羽でまくらを、ちちで ちーずを、毛で毛布を、ちちで ぎゅうにゅうを」という風に、自分の持っている物をあげる提案をしてくれるのですが、すべてお母さんの持っているものばかりだったのです。
最後、めうしさんの提案で、おやまのもりにすんでいる くまさんに聞きに行きました。
そこで、くまさんが教えてくれたことは何だったかと言うと、…。
うちに帰ったダニーは、おかあさんに こう言います。
「おかあさんの おたんじょう日に なにをあげるか、あててごらんなさい」
「そうね」 「・・・」 「たまごかしら」
「いいえ」
「じゃ、まくらかしら」 「・・・」
答えがどうしてもわからないおかあさんに、だにーがしたことは、…。
「だにーは、おかあさんのくびに ぎゅっと だきつきました」
そうやって ほおずりして あげるのが、いちばんいい おくりものだよ」と、くまさんが教えてくれたのでした。
私は、このお話のストーリーに心惹かれ、お母さんを大好きな子どもと、子どもを愛するおかあさんとがハグをする場面が大好きです。
昔も今も変わらない親子の姿だと思います。
どんなに楽しく過ごしていても、おかあさんがお迎えにいらっしゃった時に見せるお子さんの笑顔に優るものはありませんね。
「ママだ~いすき!って、かいたんだよ。」と話してくれたYちゃんもその一人です。
母の力は偉大ですね。
「私の母としての姿は、どうだったのかしら?」と、一つ歳を重ねたこの機会に振り返ってみました。
幾つになっても、これでよしと言うことはありませんので、努力することを忘れずにいたいと思うこの頃です。