金木犀が咲く頃。
利用者さんの車が発車するのを見送ると、花の香りが漂ってきて、その甘い香りに癒されます。
短時間の預かりとは言え、大切な命をお預かりする仕事をさせていただいていることに緊張する日々ですが、利用者の親子さんの笑顔と共に、一日の仕事を無事終えるとほっとします。
今日は十三夜。(満月が見られるかどうか心配な空模様ですが。)
ここ数日お天気が安定していましたので、月が見られる日が何日かありました。だんだんと丸くなっていくお月様を見ていると、「まるでお月様に見守られているような」そんな不思議な感覚になります。いつだったかも、同じようなことがあったような気がします。長い時間お預かりしたHくん(当時3歳)を無事見送った時、「お月様が見守ってくれているなあ」と、ほっとした覚えがあります。
Hくんは本が大好きなお子さんで、その日も5,6冊を読んであげました。その中の1冊に、「おつきさまこんばんは」(林明子さく/福音館書店刊)という、どちらかといえば0,1歳向きの絵本ですが、とても気に入っていました。
おつきさまが黒い雲に隠れたかと思うと出てきて、
「あー よかった
おつきさまが わらっている
まんまる おつきさま
こんばんは
こんばんは」 ―文中より引用
おつきさまがにっこり笑いかけています。まるで、絵本を見ている子どもに語りかけるように、にっこりと。
まんまるお月様に包み込まれるような、ほっこりとした気持ちにしてくれます。
そして…。
最近時々来てくださるKくんは、1歳1か月です。「おかあさん大好き!」時期に入り、いらっしゃると必ず泣く習慣が続いていました。それが回を重ねるにつれ慣れてくれて、泣き方にも変化が見られるようになりました。そして、「今はわざと泣いているのかな?」という、余裕が生まれてきているように感じるほどです。
そんなKくんが今大好きな遊びは、「いないいないばあ」です。そして、語尾の「ばあー」がとても上手に言えるのです。
そうであれば、おもちゃ遊びの合間に「いないいないばあ」(松谷みよ子さく・瀬川康男え/童心社刊)の絵本を読んであげることにしました。
最初は猫のにゃあにゃあが、次にくまちゃん、次々に登場する動物たちといない いない、「ばあっー!」と楽しんでいるKくんの顔は、満面の笑顔です。泣いていたお子さんが、笑顔になる瞬間には感動しかありません。
Kくんが次に来られる時があったら、「おつきさまこんばんは」を読んであげたいと思っています。(おつきさまが)出てくると隠れ、そしてまた出てくるが、一種のかくれんぼ、いないいないばあ遊びにつながるものがあるからです。
「ばあっー!」と言った時のKくんの顔を想像すると、わくわくしてきます。
Kくんにとって、お母さん以外(もちろんお父さんもですが)に安心して甘えられる、信頼できる人に私たちがなれていたならば、それは、それは嬉しいことですね。
短時間の預かりは、まさに「一期一会」のお付き合いです。この瞬間としっかり向き合って、お子さんの今を大切に寄り添っていきたいと思います。