💛贈る本「へいわって どんなこと?」
長い間お預かりしていたお子さんのKさんが、いよいよ外国に行き、日本を離れる
ことになりました。寂しいことですが、門出を心からお祝いしたいと思っています。
心ばかりですが何か記念になるものを差し上げたいと思い、あれこれ考えてみま
した。
最小限度の身の回り品で出発されるのでしょうから、軽くてかさばらない物でと
考えました。
と言っても、絵本が好きな私の心はおよそ定まっていました。
そんなある日。
朝食を食べながら「あさイチ」(NHKのトーク番組)を見ていたら、その日のゲスト
が絵本作家の浜田桂子さんでした。金曜日のプレミアムトークショーのゲスト出演で
した。旧知の人に再会したような、嬉しくてたちまちテレビに釘付けになりました。
浜田桂子さんは、絵本の講演会の講師として新潟にも何度か足を運んでくださって
います。その都度出掛けて行っては、その優しい語り口調と偉ぶらない姿勢に感激し、
買い求めた絵本にサインをしてもらうのが恒例でした。番組中に取り上げられてた
「へいわって どんなこと?」の絵本もその時に出会った1冊です。
日・中・韓平和絵本 「へいわって どんなこと?」 童心社刊 |
8年前に参加した講演会で、絵本「へいわって どんなこと?」が完成するまでの
裏話を伺いました。浜田さんら日本人作家の呼びかけで、中国・韓国の作家との「平
和絵本プロジェクト」がスタートしたのが、15年前。中国・韓国の人たちとの「平
和」に対する認識の違いからくる困難さやことば一つについても議論に議論を重ねな
がら出来上がった一冊だということ。今年の1月に香港で出版され、現地に行って
子どもたちの前で読み聞かせをしたことなどなど。改めてこの絵本の意義の深さを
再認識させれました。
この日(プレミアムトークショー)の浜田桂子さんは、お歳をとられてもその人柄
がにじみ出た優しい語り口は、かつての印象のままだと感じました。「平和」をテー
マにした絵本を通して、子どもたちにその思いを伝えたいという情熱に秘めた力強さ
と優しさを感じました。
こうして1冊の絵本が読み手のお子さんのところに届けられるまでに、たくさんの
人たちの思いが込められていることなどを知る機会がほとんどない中、この日の放送
テーマが絵本作家であったことは、とてもいい企画だと思いました。
かつて参加した絵本講演会の中で、「赤羽末吉さん(※)は、『子どもだからこ
そ、本物を届けたい。』という思いで、雪の表現ひとつにもこだわり、ていねいな
絵本作りをされていた。」という話を聞いたことがあります。
(※)「かさじぞう」「だいくとおにろく」「スーホの白い馬」などなど多数の民話・昔話絵本に絵を描かれている絵本画家、絵本作家さんです。
(いずれも福音館書店刊)
前置きが長くなりましたが、好きな絵本のこととなるとつい夢中になる悪い癖です。(笑)
そんな訳ですから、あの番組を見た瞬間にKさんに贈る本は、「へいわって どんなこと?」に決まりました。
へいわって ぼくが うまれて よかったって いうこと。 →次ページ きみが うまれて よかったって いうこと。 と、つづきます。 |
活字離れ本離れがどんどん進む今日、未来を担う子どもたちには本の好きな
子どもに育って欲しいと思います。その入り口が、まずは「いい絵本との出会い」
だとも思います。いい絵本とたくさん出会うことで、心豊かに育って欲しいです
ね。
「いい絵本を届けたい!」
Kさんはもちろんですが、子どもたちの育つ未来が平和な社会であって欲しい!
そんな思いをこの1冊の絵本「へいわって どんなこと?」に託したいと思います。