2022年12月22日木曜日

クリスマスと絵本

 

大雪になりました。

庭の木々もすっぽり雪におおわれ、辺り一面真っ白です。花芽をつけていたミモザの木の枝が雪の重みでポキント折れ、いたわしい姿になってしまいました。雪の備えもしないで、不用意だったことをミモザの木に謝りました。

 

「ホワイトクリスマスだ!やったー!」なんていうレベルではありませんでした。

 

かつて…。

12月の保育園は、クリスマスカラーで一色です。

「今年のクリスマスは、どんなことをしようかな?」「さてさて、サンタさん役にはどなたにお願いしようかしら?」などなど。子どもたちの喜ぶ顔を想像し、わくわくしたものです。

 

「サンタさんが来てくれるかな?」と、まずはサンタクロースへの期待感を高めるための演出をあれこれ、そしてその期待を裏切らないように準備を着々と進めていきます。

 

サンタさんにどういう形で登場してもらうかが、悩みどころでした。

トナカイが引くソリに乗って…といきたいところですが、そもそも雪も降らなければ、住宅事情も変わって煙突のある家もありません。

 

当日。

ホール入り口の手前辺りから「シャンシャン♫」と鈴の音を聞こえるように流し、「来るかな?来るかな?」の雰囲気が盛り上がったところに、「サンタさん登場!」の運びとなります。

 

「ほんとうにサンタさんなのかな?」と怪訝そうに顔を覗き込む子どもや「サンタさん!どうやってきたの?」「どこからきたの?」など興味津々な質問に、丁寧に答えるサンタさん。そのサンタ語の通訳するのが、進行役である私の役目でした。子どもたちの期待を裏切ることなく、失望させないようにするのが、大人の役割と思っていました。いつまでも夢見る子どもでいてほしいと願っています。

 

そのあと、サンタさんからプレゼントをもらうのが、定番の流れです。怪訝そうな表情だった子どもも、プレゼントをもらった喜びで、「?」は吹き飛んでしまうようです。()

 

蛇足ですが…。

2005年12月22日、強風による大停電が新潟地域に起きました。まさにクリスマス会の真只中の出来事でした。楽しかったクリスマス会の余韻どころではない、子どもたちを寒さから守るための行動に必死だったことを覚えています。園にあるありったけの毛布を出して、暖をとりました。電話も不通となり、外部との連絡も取れない状態でした。

 

夕方4時頃には復旧し、大事に至ることもなかったのは、幸いでした。

 

あれからまさに17年。今年は、この大雪になって、いろんな被害災害が起きていると聞きます。子どもたちの安全を守るために日々ご苦労をなさっている園の先生方を思うと、頭が下がります。

 

もうすぐクリスマス。

話はがらりと変わりますが、この時期に子どもたちに読んであげたい絵本を1冊紹介させていただきます。

 

「子うさぎましろのお話」
文・佐々木たづ 絵・三好碩也 刊・ポプラ社

クリスマス。

北の国に住むどうぶつの子どもたちのところにもサンタクロースがやってきました。

白いうさぎの“ましろ”は、いちばんに贈り物をもらいました。おかしときれいなかざりです。

“ましろ”は、よろこんでおかしをぺろりと食べてしまって、まだ、もっとなにかほしくなりました。

 

そこで、“ましろ”は、「べつのうさぎの子になればいい!」と考えました。そして、からだのところどころにすみを塗って、まっ白なからだをくろくしてしまうのです。

 

うさぎの子は、いいました。「おじいさん、ぼくにもクリスマスのおくりものちょうだい」

おじいさんには、それが“ましろ”だということが分かっていたのですが、…。

 

残っていた一つの種をもらい、さらに袋の中に残っていたサンタさんのサンドイッチももらって食べる“ましろ”でした。

 

おなかいっぱいになったうさぎの子に、サンタクロースのおじいさんは、種を渡しながら言いました。

「さあ、よい子で、おうちへおかえり。おかあさんがしんぱいして、まっているよ。」

                ―(中略)―


自分のものは、さっさと食べてしまったけど、お友だちのものが美味しそうに見えてくる。もっとほしいなあ!小さい子どもには、あるあるの話ですよね。

 

「さっきあげたよね。もう食べてしまったの?」と、たしなめてしまえば、話はそれで終わりです。子どもの可愛い嘘にうまく付き合ってあげる優しさと包容力に、心が温まるお話です。

 

クリスマスを間近に控えた頃、4,5歳児のクラスに読んであげていた絵本です。

少しむずかしい内容もありますが、研ぎ澄まされた子どもたちの感性で、しっかり受け止めてくれていたと思います。

 

さて、このお話のラストシーンが感動的なのです。

 

“ましろ”は、ひとつの種を土の中に埋めました。春になって芽をだしたのは、もみの木。もみの木はぐんぐんのび、秋には若木になり、そして12月。

 

“ましろ”のもみの木は、もみの林の中にあって、ひときわキラキラかがやく木に育ったのでした。

そして、その木には、おもちゃ、ベルや絵本、おかしもなっていました。

心を改めた“ましろ”への贈り物は、神様からの世界中の子どもたちへ贈られた木だったようです。

 

「うそをついてはいけないよ」「いい子になるとこうなるよ」という、教訓話ではけっしてありません。

でも、お話を聴いている子どもたちには、ちゃんと伝わっているようでした。

 

クリスマスを心待ちにしている子どもたちに伝えたいメッセージを気負わず、淡々と読み、このお話の魅力が伝わってくれれば、嬉しいです。

 

今日お預かりした9か月になったEちゃんには、初めてのクリスマスです。

この時期のお子さんにふさわしいクリスマスの絵本が見つからず、結局、「いいおかお」

「いないいないばぁ」の2冊を読んであげました。

 

手を出して、「タッチ!」と言葉をかけると、もみじのような可愛い手を出して応えてくれるEちゃんです。

メリークリスマス!


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