日々寒暖の差はありますが、日差しに柔らかさを感じるこの頃です。
そして、3月雛の月を迎えました。
先月のことになりますが、連続6日間同じお子さん(2歳2か月のR君です)をお預かりする機会をいただきました。
おばあちゃんっ子のR君は、「ばぁばっ!」を連呼し涙の別れになりました。初めての環境「こころほいく」で過ごす時間は、R君にとっての初体験であり、試練のように思いました。
泣くのは、当たり前です。
「ばぁばっ!ばぁばー!」と訴えるR君に対して、「おばあちゃんが大好きなんだよね。ばぁばに会いたいね。(悲しい時は、)いっぱい泣いていいよ。」と、R君の泣きたい気持ちに最大限寄り添いながら、知っている限りのうたを歌ってみました。「R君は歌が大好き!」という情報があったからです。
「コンコンクシャンのうた」をうたい始めた時です。
「♪ぶうちゃんが マスクした まるい まるい まるい まるい~♫ 」の歌詞に反応したR君が、笑ってくれました。
さすがに2歳のR君。一生懸命に泣きながらも、関わっている私の言葉や歌に耳を傾け、聴く力がしっかり育っていたのです。
感動です!「今だ!」と思いました。
遊びに誘うタイミングがやってきました。出来れば楽しく過ごして欲しいからです。
後方は 「トレインカースロープ」 ベック社製
R君は、特に「きいろ!」が大好きでした。
真ん中 「ずかん・じどうしゃ」 山本忠敬 さく/福音館書店刊
40歳になった息子も愛読した絵本ですが、現在は二代目です。
前方 「いらっしゃい」 せなけいこ さく
お店屋さんの歌遊びで楽しみました。
「R君は車が大好き!」という情報があったことも幸いでした。
「ずかん・じうどうしゃ」のページをめくるたびに描かれている車を指さし、「タンクローリー!」「コンクリートミキサーしゃ!」「ゆうびんしゃ!」と言い当てるR君の表情は、嬉々としていました。
「すごいね!よく知っているね。」を連発すると、R君は得意顔に変わりました。
そこで、「はたらくくるま」の歌とのコラボすることとなりました。
歌詞も音程もしっかりしていて、語彙数が急に増える頃の2歳さんそのものだと思いました。またまた感動です。
二日目のR君の涙の時間は30分に短縮され、日々更新していくこととなりました。すっかり慣れてきたR君の姿に変化が見られるようになりました。車のおもちゃを投げながら私たちおばさん、おじさんの反応をうかがうようになりました。
「大好きな車を投げないでね。車さんが痛いって言っているよ。」と、禁止句を使わないように努めました。「ダメ!」と言うと、なおもやり続けて「投げる」ことを面白がる遊びにしないためです。
疲れてきて物に当たりたくなる気持ちは、分かりますね。
R君なりに頑張っている姿を見ていたら、「叱る」なんてとんでもないことで、むしろ「偉かったね!頑張ってね!」とたくさん褒めてやりたいと思いました。
「おじちゃん!おばちゃん!」と呼ばれる関係の中に、信頼関係が生まれてきたと感ずる頃、最終日を迎えることとなりました。六日目の涙は、瞬く間の出来事でした。
こうして…、
車のおもちゃと絵本とそして歌に助けられて、6日間を無事終えることが出来ました。
保護者の方のお手伝いが少しでも出来たなら、こんなに嬉しいことはありません。
明日は、ひな祭り。
そもそもひな祭りは女の子の健やかな成長を願う行事ですが、性別は関係なくして、この度ご縁をいただいたR君をはじめ子どもたちの健やかな成長と幸せを願う日として、おじさんと共にお祝いしたいと思います。