💛思い出の1冊 「のえんどうと100にんのこどもたち」
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甲斐信枝さく 福音館書店刊
植物こよなく愛する甲斐信枝さんの絵本です。
文も絵の色合いも優しく、自然への愛に満ちています。 |
玄関で子どもたちの受け入れをしていた私の前に、年長児のRちゃん(女児)が
やって来て、「せんせい、これ!」と手に持っていたピンク色の花を差し出して
くれました。
「ありがとう!可愛い花だね。」と受け取ると、はにかみながらにっこりうなず
いたRちゃん。
転勤してきてまだ日が浅かったこの頃。
声掛けをしても返事がないこともあり、無口でおとなしいRちゃんが、実はとても
気になっていました。「私のことを受け入れてくれたのかな。」と、嬉しくなりま
した。
Rちゃんとの会話がふくらんでいく絶好のチャンスでしたのに、当時の私には知識
がなく、その花の名前を知りませんでした。情けないですね。
「Rちゃん、ごめんなさい。この花の名前が分からないから、調べておくね。」
と、私は正直に謝ると、Rちゃんは、再びにっこりとうなずいてくれました。
こんなことがあった数日後、図鑑で調べたりしながら、絵本棚で1冊の絵本と出会
いました。まさにあのピンクの愛らしい花(カラスノエンドウ)が主人公の絵本でし
た。まさにタイムリーな出会いだったのです。
さっそくRちゃんのところに飛んで行き、花の名前を告げると、絵本のページを
一緒にめくってみました。
「子どもを守りたい!」という(のえんどうの)お母さんの深くて強い愛が伝わ
ってくる、のえんどうという雑草のたくましさが描かれている絵本でした。
Rちゃんに、どこまで伝わったかは分かりませんが、1冊の絵本を通して二人の心
が一つになる、「絵本の力」のすごさを感じた瞬間でした。
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マメ科ソラマメ属の一年生雑草で、 標準和名は「ヤハズエンドウ」というそうです。 キヌサヤのような緑色の豆がやがて黒く熟し、 はじけて種として飛んでいく、たくましい雑草です。 |
今、まさに真っ盛り。我が家の庭で伸び伸びと生えているカラスノエンドウたち。
摘んでも、摘んでも後から生え、伸びていくたくましい雑草です。
Rちゃんとのエピソードを思い出すたび、生きようとする雑草の命を摘むことに
「(摘んで)ごめんなさい!」という不思議な気持ちになっています。
雑草のごとく、踏まれても、踏まれても強くたくましく成長していて欲しいと願
い、二十数年後のRちゃんの姿を想像しているこの頃。
新潟では、緊急事態宣言は解除されましたが、今までの日常に戻るには長い時間
と長い道のりを歩くことになりそうですね。
長い間、子どもと関わる仕事を続けてきて、肌と肌がふれあうことで安心して
泣きやむ赤ちゃんをたくさんみてきました。どれだけ心が癒されてきたこと
でしょうか。
今、「大切な人の命を守る行動」の一つとして求められていることが、「人と人と
の社会的距離(2m)を保ちましょう。」ということです。
この言葉を耳にするにつけ、医療従事者の方々はもちろんですが、介護や保育など
の現場で、「人と人とがふれあう」仕事をされている方々は、今どんな気持ちでお仕
事なされているのかと、そのご苦労を察するに余りあります。
ただ、ただ… 敬意と感謝の念あるのみです。
自粛生活を送りながら草取りに夢中になっていたある日、ふと過ぎし日のことを思
い出していました。