「こどもへのまなざし」「続 子どもへのまなざし」「完 子どもへのまなざし」
この本の著者である佐々木正美先生は、長年、児童精神医療の現場で
たくさんの子どもとその親御さんと関わり、寄り添ってこられました。
また、大学で教鞭をとられる傍ら、保育や教育現場に携わる者を
対象とした講演会活動に全国を忙しく飛び回っていらっしゃいました。
「思いやりのある子に育ってほしい」と私たち大人は願います。
そうであれば、「私たち大人が、子どものことを十分に思いやりながら
育てればいいのです。」と先生は語っています。
また、乳幼児期は人格の基礎を作るだいじなときであること。家を
建てる時の基礎工事の大切さと同じであるとも語っています。
「根拠のない自信」を育むことの大切さ。「〇〇ができる」
「△△ができる」という能力は「根拠のある自信」ですが、それは
揺らぐもの。「ありのままの私」を無条件に愛されることで培われた
「根拠のない自信」は揺らぐことはありません。
このことは、自尊感情であり、自己肯定感であり、ひいては
「生きる力」につながるのではないでしょうか。
得意なことより不得意なことの多い私です。
保育園で働いていた頃、何でも卒なくこなしている同僚を見ながら、
「うらやましいな。」と思うこともしばしばありました。
でも…
「子どもが大好きだと思う気持ちは誰にも負けない。」と妙な
自信がありました。
20年も前のことになりますが、講演会で佐々木正美先生と
出会い、ご著書に触れるにつけ、「あなたはあなたのままでいい」
と私に言ってくださっているように感じました。
以来、保育士としての私の大きな支えとなりました。
「子どもが大好きという気持ちを大切にしていきたい」
「子どもとお母さん一人ひとりに寄り添った保育士でありたい」と。
その佐々木正美先生が今年6月に亡くなられていたことを最近知り
ました。佐々木正美先生には、たくさんのことを学ばせていただきました。
遅まきながら、この場をお借りして感謝の気持ちをお伝えさせていただく
と共に先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。