2023年4月8日土曜日

希望の日

 

先日、Sちゃんのお母さまから久しぶりにご連絡をいただきました。

 

「昨日、無事に幼稚園を卒園いたしました。」「ずーっと、窪田さんに会いたい、おじいちゃんおばあちゃんの家に行きたいと言っているので、預かりをお願いできますか?」というお話でした。

 

もちろん大歓迎です!この仕事をさせていただいて6年近く経ちますが、こんな嬉しいことはないですね。

 

Sちゃんの「会いたかった!」という思いや期待感を裏切ることがないようにと、やや緊張感を持っての再会、お預かりがスタートしました。

 

そんな心配はすぐに吹き飛び、Sちゃんとのおしゃべりは弾み、終始笑いも絶えません。その合間、習っているピアノを弾いて聴かせてくれたり、一緒に歌をうたったりして過ごし、あっという間の2時間でした。

 

誉め言葉が過剰にならないように気をつけながら、「Sちゃん、上手だね。すごいね!」と声をかけると、嬉しそうな表情のSちゃん。

 

当時、はにかむ顔が印象的だったSちゃんでしたが、初めてお預かりした日から4年の月日が流れ、すっかり成長し、「(私)ピアノが大好き!」という自信に満ちているようでした。

 

そして何よりも驚かされたことは、「おじいちゃんが、お手玉をして遊んでくれた。」と、当時のことを楽しい記憶として、お母さまに話していたことです。おじさん(おじいちゃん)の得意芸?()ですから、Sちゃんの記憶に間違いはないのです。

 

2歳のお子さんの記憶に残っていることに、驚きと喜び、と同時に保育者(大人)としての言動の責任の重さをひしひしと感じました。

 

「こころほいく」でやってきたこと、お子さんとの関り方に間違いはなかったか、今一度立ち止まり、考える機会をいただいたと思っております。

 

「おじいちゃん、おばあちゃん大好き!」と言ってくれたSちゃんと、その思いを支え、願いを叶えてくださったお母さまに、改めて感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。

ありがとうございました。

 

そしてあれから一週間の今日、入学式でしたね。

あいにくと傘を持っての入学式になりましたが、希望に胸膨らむ嬉しくて緊張した一日だったことと思います。💛ご入学おめでとうございます!

 

「負けないで!頑張れ!」おじいちゃんとおばあちゃんも応援させていただきます。

 

           🌸新しいおもちゃを紹介させていただきます 

 

上 マグネットブロック
磁気力がすごい!プラスとマイナスが分かると面白いです
 (破損事故に要注意です)

下/左  2段仕立てのパズル「しょうぼうじどうしゃ」
けっこう難しくて、先日は4歳の子と夢中になって完成させました

Sちゃんが利用してくださった4年前から見て、おもちゃや絵本など備品も増えて環境も多少変わりました。おかげさまで昨年同様、市からの「コロナ感染症対策補助金」をいただき、除菌剤やおもちゃ殺菌庫、サーキュレーターなどの衛生対策費はもちろんのことですが、おもちゃや絵本を買うのに使わせていただきました。少しでも利用してくださるお子さんたちに還元できたらと思っています。

2023年3月17日金曜日

巣立ちの時

 

桜の開花が聞かれるこの頃。

暖かな日差しに誘われて、久しぶりに庭に出てみた先日のことです。

 

花壇は、一面枯葉が敷きつめられていて、この光景は冬の間ずっと気になっていたことでした。役目を終えた枯葉は思いのほか軽く、面白いほどに簡単に取り除くことが出来ました。

すると、この時を待ちわびていたかのように、新しい芽たちが顔を出していたのです。「枯葉のお布団は重かったよね」と、心の中でつぶやきながら作業しました。

 

中には、枯葉を突き破って顔を出している芽がありました。大興奮!!です。

「ちょっと、見て!」と、夫を呼びました。その生命の力強さに感動しました。

 

この時、二日前に利用してくださったSさんとKくんのことを思い浮かべました。

初めてお預かりさせていただいたのは、Kくんが2か月の頃でしたので、かれこれ1年数か月のお付き合いになります。利用の間隔が、1か月、あるいはそれ以上空くこともあるので、お母さんとの離れ際はKくんの目から涙が出るのは当たり前のことでした。

ところがこの日、2歳の女児Yちゃんと一緒のお預かりになりました。

いつもと違う光景にあっけに取られた表情のKくん。泣きかけて顔が緩んだ瞬間、表情に変化が見られたのです。「お友だちがいるのに、泣いてなんかいられないぞ!」と言わんばかりのKくんの表情が、とても頼もしく感じられました。

と同時に、友だちの力の大きさを感じた瞬間でもありました。

ティッシュペーパーで涙をふいてやろうとしているYちゃんの優しいおねえちゃん振りの姿も見ることができました。なんとも微笑ましい光景ですね。

 

お母さんのお話によると、4月からの入園が決まったとのことです。予定していた育児休暇を延長しながら、ようやく決まった入園です。お母さんの気持ちを察するに余りあるものがあります。

 

一つの遊びをじっくり遊びこむ姿や、一人遊びする姿も見られるようになったこの日、まさに、「機が熟す」という言葉がぴったりのKくんの姿がありました。

「泣くこと」を吹っ切ることができたKくんの顔は、晴れやかな笑顔であふれていました。

 

「こころほいく」には入園や卒園の節目はありませんが、お子さんたちが入園される時が、「こころほいく」を卒園する日だと思っています。

寂しくないと言ったら嘘になりますが、お子さんたちが笑顔でここで過ごしてくれること、

Kくんのように継続的に利用してくださったお子さんが、会う毎に成長していく姿を見守れる、この喜びは一塩です。

 

花壇の枯葉のごとく、新芽の成長を下支えする役目をもう少しだけ続けさせていただこうと思うこの頃です。

 

巣立ちの時ですね。

(こすずめの)巣立ちの時の冒険を見守り、応援するお母さん(すずめ)の深い愛情が伝わってきて、ほっこりする絵本「こすずめのぼうけん」を贈りたいと思います。



ルース・エインワース作
石井桃子訳 堀内誠一画
福音館書店刊
大好きな絵本のベスト3の1冊です!


お母さんの優しい愛情に触れると、保育士生活何十年経ても胸が熱くなります。

子育てを頑張っていらっしゃるお母さんにエールを送る気持ちで、読ませていただいております。

 

2023年3月2日木曜日

3月雛の月

 

日々寒暖の差はありますが、日差しに柔らかさを感じるこの頃です。

そして、3月雛の月を迎えました。

 

先月のことになりますが、連続6日間同じお子さん(2歳2か月のR君です)をお預かりする機会をいただきました。

 

おばあちゃんっ子のR君は、「ばぁばっ!」を連呼し涙の別れになりました。初めての環境「こころほいく」で過ごす時間は、R君にとっての初体験であり、試練のように思いました。

 

泣くのは、当たり前です。

「ばぁばっ!ばぁばー!」と訴えるR君に対して、「おばあちゃんが大好きなんだよね。ばぁばに会いたいね。(悲しい時は、)いっぱい泣いていいよ。」と、R君の泣きたい気持ちに最大限寄り添いながら、知っている限りのうたを歌ってみました。「R君は歌が大好き!」という情報があったからです。

 

「コンコンクシャンのうた」をうたい始めた時です。

「♪ぶうちゃんが マスクした まるい まるい まるい まるい~♫ 」の歌詞に反応したR君が、笑ってくれました。

さすがに2歳のR君。一生懸命に泣きながらも、関わっている私の言葉や歌に耳を傾け、聴く力がしっかり育っていたのです。

 

感動です!「今だ!」と思いました。

遊びに誘うタイミングがやってきました。出来れば楽しく過ごして欲しいからです。

 

後方は 「トレインカースロープ」 ベック社製
R君は、特に「きいろ!」が大好きでした。
真ん中 「ずかん・じどうしゃ」 山本忠敬 さく/福音館書店刊
40歳になった息子も愛読した絵本ですが、現在は二代目です。
前方 「いらっしゃい」 せなけいこ さく
お店屋さんの歌遊びで楽しみました。

 

R君は車が大好き!」という情報があったことも幸いでした。

「ずかん・じうどうしゃ」のページをめくるたびに描かれている車を指さし、「タンクローリー!」「コンクリートミキサーしゃ!」「ゆうびんしゃ!」と言い当てるR君の表情は、嬉々としていました。


 「すごいね!よく知っているね。」を連発すると、R君は得意顔に変わりました。

 

そこで、「はたらくくるま」の歌とのコラボすることとなりました。

歌詞も音程もしっかりしていて、語彙数が急に増える頃の2歳さんそのものだと思いました。またまた感動です。

 

    

二日目のR君の涙の時間は30分に短縮され、日々更新していくこととなりました。すっかり慣れてきたR君の姿に変化が見られるようになりました。車のおもちゃを投げながら私たちおばさん、おじさんの反応をうかがうようになりました。

「大好きな車を投げないでね。車さんが痛いって言っているよ。」と、禁止句を使わないように努めました。「ダメ!」と言うと、なおもやり続けて「投げる」ことを面白がる遊びにしないためです。

疲れてきて物に当たりたくなる気持ちは、分かりますね。

 

R君なりに頑張っている姿を見ていたら、「叱る」なんてとんでもないことで、むしろ「偉かったね!頑張ってね!」とたくさん褒めてやりたいと思いました。

 「おじちゃん!おばちゃん!」と呼ばれる関係の中に、信頼関係が生まれてきたと感ずる頃、最終日を迎えることとなりました。六日目の涙は、瞬く間の出来事でした。

 

こうして

車のおもちゃと絵本とそして歌に助けられて、6日間を無事終えることが出来ました。

保護者の方のお手伝いが少しでも出来たなら、こんなに嬉しいことはありません。

 

明日は、ひな祭り。

そもそもひな祭りは女の子の健やかな成長を願う行事ですが、性別は関係なくして、この度ご縁をいただいたR君をはじめ子どもたちの健やかな成長と幸せを願う日として、おじさんと共にお祝いしたいと思います。

 

玄関ギャラリーのお雛様たち
菱餅のとなりは、ミニうさぎのお雛さま
弥彦のガラス工房で今年求めたニューフェイスです


2023年2月4日土曜日

待ち遠しい春

今日は「節分」です。

暦の上では春(立春)前日ですが、辺り一面雪景色です。
 顔をのぞかせていた水仙の芽が、雪にすっぽり覆われてしまいました。
まだまだ寒い日が続きそうですね。 

 「こころほいく」では毎日利用者さんがいらっしゃる訳ではありませんが、お子さんに関わる行事は大切にしていきたいと思っています。

「節分」もその一つです。豆をまいて鬼を追い払い、福(春)を招き入れたいと思います。そして、1年の無病息災を祈りたいと思います。

 豆まきが終わると、「歳の数だけ食べましょう」と豆を食べていたのは、過去の話になりました。今は、誤嚥防止のため、「5歳以下の子どもには、かたい豆やナッツ類は食べさせないように」と、国よりの指導があります。

 今年の節分は大人だけでしたので、これまで通り落花生をいただくこととしました。

 今年は、新たな試みで、恵方巻の手作りに挑戦してみました。「南南東は、どっちかな?」とワイワイ言いながら、美味しくいただくことができました。

 「節分」の楽しみのもう一つは、鬼に関わる絵本を子どもたちに読んでやることでした。

 今年は、「だいくとおにろく」の絵本を紹介させていただきます。
松居 直再話 赤羽末吉画
福音館書店刊
日本の昔話

「むかし、あるところに、とても ながれの はやい おおきなかわが あった。」と、このお話ははじまります。 なんどはしをかけても ながされてしまい、むらのひとたちは、こまりはてて いました。

そこで、このあたりで いちばん なだかいだいくに はしをかけてもらうよう たのむのです。はしをかけることをひきうけたものの だいくは しんぱいになって かわを のぞきこんでいました。

 そこに おおきな おにが あらわれて言います。 「おい、だいくどん、おまえは いったい なにを かんがえている」 

 ここから、おにと だいくの 知恵くらべがはじまります。問答の末、おにの 力を借りて はしをかけることができました。 

 結果は、めでたしで終わりますが、人間(だいく)の知恵と機転が鬼(おにろく)に勝ったことは小気味よくもあり、どこか気がいい、憎めない存在の鬼に心惹かれるお話です。

 昔話にはいろいろなタイプの鬼が出てくるお話がたくさんありますが、「だいくとおにろく」には、心がほっこりさせられます。 


「だいくとおにろく」の再話をされた松居直氏が、昨年11月に亡くなられたと聞きました。とてもショックを受けています。

 先生の講演会では、穏やかな口調の中にも絵本への思いを熱く語っていらっしゃったことが、つい昨日のことのように思い出されます。たくさんの学びをいただきました。
ご冥福をお祈りいたします。 

 絵本は無理じいをして読むものではありませんが、興味がないからいいというものでもありません。絵本の面白さに出会えていないお子さんに、絵本の魅力を伝えることができ、「絵本が大好き!」のお子さんが一人も増えてくれたらこんな幸せなことはありません。 


 「立春」前夜、穏やかで暖かな春を心待ちにしています。

 
「春よ来い!」
 

2023年1月27日金曜日

子ども自身がもつ育ちの力

 

またまた、たくさんの雪が降りましたね。

 

こんな雪の最中、ご利用いただいたWさんには感謝の言葉しかありません。

ありがとうございました。

Rくんとは、およそ11か月ぶりの再会でしたが、慣れない環境にも関わらず、泣くこともなく安心して遊んでいる姿を見守らせていただきました。

1歳7か月のRくんは、足取りもしっかりとしていて、一人遊びが上手にできるお子さんでした。年齢等を考えて、興味を惹きそうなおもちゃをいくつか準備し、後は臨機応変に対応できるようにして環境を整えました。ままごと遊びは性差なく大好きな遊びの一つですし、男の子だから車というのも偏った見方だとも思いますが、車や電車遊びの提案もしてみました。

 

レールの凹凸をみてはめ込もうとする仕草も見られ、この年齢でこんなこともできることに驚かされました。見て学ぶ力も育っているのですね。踏切を走らせるときには、「カンカンカンカン!」と擬音を使い、電車を走らせていました。

電車遊びを主としながらチエーン遊びやコップのタワーを積んで崩す遊びに興じたり、そのコップで乾杯ごっこをしたり、笑いこけながら楽しそうに遊んでいた姿が印象的なRくんでした。

3時間半をたっぷり遊んだ頃に眠気がきていたRくん。そんな矢先にお母さんがお迎えに見えられました。「ピンポーン!」の音にハッとした様子のRくん。

お母さんの姿に出会った瞬間、Rくんに別のスイッチが入ったようでした。

楽しく遊んでいたことのすべてがリセットされたようにも見えました。

 

「お母さんの力」の偉大さを感じた瞬間でした。

と同時に、慣れ親しんでいるようにみえても、大人(私たち)への気遣いをしたり、お子さんなりに我慢をしたり、頑張っていたことに気づかされました。

コートを着るのもそこそこで、入口(出口)の扉に走りこんだRくんの精いっぱいさが伝わってきました。

 

心が通いあっているように思っても、まだまだ見えていないことがあることに気づかされました。お子さんの心にしっかり寄り添って、読みとっていかなければと、心新たにしたところです。

 

1歳7か月のお子さんに、すでにこんな力が備わっていることに感動した出来事でした。

 

数日前にも、2年半振りの利用者Yさんからお問い合わせの電話をいただきました。利用せずに解決できたことは何よりだったと思います。困った時、「こころほいく」の存在を思い出してくださったことがとても嬉しかったです。

 

これからも利用者さんのご希望に寄り添うことを基本姿勢として進めてまいります。困った時、お気軽にご相談いただければ幸いです。

 

どうぞ今年もよろしくお願いいたします。


雪が吹きつけた玄関先
左右に置かれているのは、魔よけのシーサーです
沖縄生まれのシーサーは、とても寒そうです
この日ちなみに-3℃

  裏庭も避難通路確保のため、雪抜けバッチリです!

2022年12月31日土曜日

ゆく年くる年

 

あと十数分、もう少しで今年2022年が終わろうとしています。

 

今年も色々な出来事がありました。

いまだ終息しないコロナウイルスとの闘い、2月に始まったウクライナにおける侵略戦争、身近な保育のことで言えば、痛ましい出来事もありました。「不適切な保育」という言葉が、しきりに聞かれるようにもなりました。

 

耳を疑うような出来事が、保育の現場で起きていることに信じがたい気もしますが、氷山の一角なんてことがないように祈るばかりです。

 

変則的にそれも一時的に短時間のお預かりをさせていただいている「こころほいく」にも、もれなく「不適切保育について」の調査依頼の文書が届きました。年明け早々に報告書を発送する予定です。

 

そもそも、私にとっての子どもという存在は、愛されるために生まれてきた守られるべき存在だと思っております。生まれてきた場所で、周りの大人を手本として学び、成長していくものです。

 

目の前の子どもを見ていると、「この前にはできなかったことが、今日できるようになった。」それだけで喜びです。そんな子どもの姿を見ていると自然に笑みがこぼれ、感動をいただいております。

 

来年は、一人でも多くの人たちが幸せに暮らせる世の中であってほしい。子どもたちの笑顔がたくさん見られる年になってほしい。そんなことを思いながら、心新たにして新しい年を迎えたいと思います。

 

今年一年大変お世話になりました。たくさんの方に支えられてここまでやってこられたことに感謝しかありません。ありがとうございました。

 

来年もよろしくお願いいたします。


卯年2023年
子うさぎを見つめる優しいまなざしに一目ぼれして、求めたものです
このうさぎさんにあやかって、
子どもの心に寄り添って保育させていただきます



 

2022年12月22日木曜日

クリスマスと絵本

 

大雪になりました。

庭の木々もすっぽり雪におおわれ、辺り一面真っ白です。花芽をつけていたミモザの木の枝が雪の重みでポキント折れ、いたわしい姿になってしまいました。雪の備えもしないで、不用意だったことをミモザの木に謝りました。

 

「ホワイトクリスマスだ!やったー!」なんていうレベルではありませんでした。

 

かつて…。

12月の保育園は、クリスマスカラーで一色です。

「今年のクリスマスは、どんなことをしようかな?」「さてさて、サンタさん役にはどなたにお願いしようかしら?」などなど。子どもたちの喜ぶ顔を想像し、わくわくしたものです。

 

「サンタさんが来てくれるかな?」と、まずはサンタクロースへの期待感を高めるための演出をあれこれ、そしてその期待を裏切らないように準備を着々と進めていきます。

 

サンタさんにどういう形で登場してもらうかが、悩みどころでした。

トナカイが引くソリに乗って…といきたいところですが、そもそも雪も降らなければ、住宅事情も変わって煙突のある家もありません。

 

当日。

ホール入り口の手前辺りから「シャンシャン♫」と鈴の音を聞こえるように流し、「来るかな?来るかな?」の雰囲気が盛り上がったところに、「サンタさん登場!」の運びとなります。

 

「ほんとうにサンタさんなのかな?」と怪訝そうに顔を覗き込む子どもや「サンタさん!どうやってきたの?」「どこからきたの?」など興味津々な質問に、丁寧に答えるサンタさん。そのサンタ語の通訳するのが、進行役である私の役目でした。子どもたちの期待を裏切ることなく、失望させないようにするのが、大人の役割と思っていました。いつまでも夢見る子どもでいてほしいと願っています。

 

そのあと、サンタさんからプレゼントをもらうのが、定番の流れです。怪訝そうな表情だった子どもも、プレゼントをもらった喜びで、「?」は吹き飛んでしまうようです。()

 

蛇足ですが…。

2005年12月22日、強風による大停電が新潟地域に起きました。まさにクリスマス会の真只中の出来事でした。楽しかったクリスマス会の余韻どころではない、子どもたちを寒さから守るための行動に必死だったことを覚えています。園にあるありったけの毛布を出して、暖をとりました。電話も不通となり、外部との連絡も取れない状態でした。

 

夕方4時頃には復旧し、大事に至ることもなかったのは、幸いでした。

 

あれからまさに17年。今年は、この大雪になって、いろんな被害災害が起きていると聞きます。子どもたちの安全を守るために日々ご苦労をなさっている園の先生方を思うと、頭が下がります。

 

もうすぐクリスマス。

話はがらりと変わりますが、この時期に子どもたちに読んであげたい絵本を1冊紹介させていただきます。

 

「子うさぎましろのお話」
文・佐々木たづ 絵・三好碩也 刊・ポプラ社

クリスマス。

北の国に住むどうぶつの子どもたちのところにもサンタクロースがやってきました。

白いうさぎの“ましろ”は、いちばんに贈り物をもらいました。おかしときれいなかざりです。

“ましろ”は、よろこんでおかしをぺろりと食べてしまって、まだ、もっとなにかほしくなりました。

 

そこで、“ましろ”は、「べつのうさぎの子になればいい!」と考えました。そして、からだのところどころにすみを塗って、まっ白なからだをくろくしてしまうのです。

 

うさぎの子は、いいました。「おじいさん、ぼくにもクリスマスのおくりものちょうだい」

おじいさんには、それが“ましろ”だということが分かっていたのですが、…。

 

残っていた一つの種をもらい、さらに袋の中に残っていたサンタさんのサンドイッチももらって食べる“ましろ”でした。

 

おなかいっぱいになったうさぎの子に、サンタクロースのおじいさんは、種を渡しながら言いました。

「さあ、よい子で、おうちへおかえり。おかあさんがしんぱいして、まっているよ。」

                ―(中略)―


自分のものは、さっさと食べてしまったけど、お友だちのものが美味しそうに見えてくる。もっとほしいなあ!小さい子どもには、あるあるの話ですよね。

 

「さっきあげたよね。もう食べてしまったの?」と、たしなめてしまえば、話はそれで終わりです。子どもの可愛い嘘にうまく付き合ってあげる優しさと包容力に、心が温まるお話です。

 

クリスマスを間近に控えた頃、4,5歳児のクラスに読んであげていた絵本です。

少しむずかしい内容もありますが、研ぎ澄まされた子どもたちの感性で、しっかり受け止めてくれていたと思います。

 

さて、このお話のラストシーンが感動的なのです。

 

“ましろ”は、ひとつの種を土の中に埋めました。春になって芽をだしたのは、もみの木。もみの木はぐんぐんのび、秋には若木になり、そして12月。

 

“ましろ”のもみの木は、もみの林の中にあって、ひときわキラキラかがやく木に育ったのでした。

そして、その木には、おもちゃ、ベルや絵本、おかしもなっていました。

心を改めた“ましろ”への贈り物は、神様からの世界中の子どもたちへ贈られた木だったようです。

 

「うそをついてはいけないよ」「いい子になるとこうなるよ」という、教訓話ではけっしてありません。

でも、お話を聴いている子どもたちには、ちゃんと伝わっているようでした。

 

クリスマスを心待ちにしている子どもたちに伝えたいメッセージを気負わず、淡々と読み、このお話の魅力が伝わってくれれば、嬉しいです。

 

今日お預かりした9か月になったEちゃんには、初めてのクリスマスです。

この時期のお子さんにふさわしいクリスマスの絵本が見つからず、結局、「いいおかお」

「いないいないばぁ」の2冊を読んであげました。

 

手を出して、「タッチ!」と言葉をかけると、もみじのような可愛い手を出して応えてくれるEちゃんです。

メリークリスマス!


<こころほいくの玄関ギャラリー/クリスマス>
今年新調したツリーとリースが仲間入りしました